『人工呼吸中のHeliox使用:臨床使用の利点と問題点 』
去る7月6日・7日、「人工呼吸療法のStandardを求めて−ERから在宅まで−」をテーマに、岡山で第29回 日本呼吸療法医学会学術総会が開催されました。(会長:岡山大学大学院医歯学総合研究科 救急医学教授 氏家良人先生)
本学会は、例年最先端の呼吸療法に対する勉強熱心な参加者が多く集まりますが、今回も様々なところで熱心な討議を弾ませている姿が目にとまるなど、いつもながらに大変活気のある学術集会でした。
七夕の日(7月7日)には、米国デューク大学メディカルセンターRRT(呼吸療法士)John Davies先生による、Helioxガスを臨床使用した際の利点と問題点についてのランチョンセミナー『The Use of Heliox During Mechanical Ventilation: Therapeutic Advantages and Clinical Issues』が行われました。
(弊社共催)
Helioxとはヘリウムと酸素の混合ガスですが、このガスを吸い込んで発声するとドナルドダックのような声(ドナルドダックボイス)になることでご存知の方も多いと思います。ヘリウムは分子量が小さい単原子分子であり、窒素の2倍のスピードで気道を通過できる特性を持っています。声帯を通過する際のガスのスピードが変わり、声帯の共鳴が通常の空気の場合と異なることで、声のトーンが変化し、ドナルドダックボイスになる訳です。この特性を人工呼吸に生かすことで、気道抵抗の高い患者さんに対してより低い気道内圧で換気が行えるメリットがあります。
しかしながら、殆どの人工呼吸器ではヘリウムと酸素を混合して正確に酸素濃度を調節できる混合器が内蔵されておらず、また換気量も正確に測定できません。
この問題点を解決し、世界で唯一Helioxによる換気を可能にした人工呼吸器がVIASYS社のAVEAです。
Davies先生の発表の中でも、Heliox使用時、非使用時の気道内圧やフローの変化をAVEAの波形画面を使用してわかりやすく解説されていました。
画面はボリュームコントロールモードにおいてHeliox使用中に、使用を止めた際の気道内圧・フロー・1回換気量の変化を表しています。最初の15秒(3波形目まで)はHeliox使用時のもので、使用を停止した4波形目以降は、フローや1回換気量は同じでも気道内圧が大きく上昇しています。
人工呼吸中のHeliox使用について、使用できる人工呼吸器が限られること、Helioxガス自体が高価であることなどの問題はまだ残りますが、用意された160席の座席はほぼ満席状態で、途中退席される方も少なく、今後研究が進むであろうHelioxに大きな期待が寄せられた大変盛況なランチョンセミナーとなりました。
本講演の成功には、Davies先生の興味深い発表内容のみならず、司会者の任にあたられました京都府立医科大学附属病院 集中治療部 病院教授 橋本悟先生の抜群の司会進行も忘れられません。
海外の先生の講演には同時通訳をつけることもありますが、今回の講演では事前に入手した英文発表資料に和訳を併記して投影し、解説が必要と思われるところで橋本先生がDavies先生の発表にストップをかけ、解説しながら講演を進めるという形式を取っていただきました。
当社としては始めての試みでしたが、橋本先生のストップを入れるタイミングが絶妙であり、英語での講演にもかかわらず、大変スムーズ且つ理解しやすい講演となりました。
演者のDavies先生と、すばらしい司会進行をして頂きました橋本先生に心より感謝申し上げます。
(文責:市場開発部 人工呼吸器チーム 坂斉 一)

