セミナー情報

第21回 日本救急看護学会学術集会 ランチョンセミナー
「目は脳の鏡」-瞳孔測定の意義と実際- ご報告

  • 掲載:2019年11月
  • 文責:クリティカル・ケア部
第21回 日本救急看護学会学術集会 ランチョンセミナー<br />「目は脳の鏡」-瞳孔測定の意義と実際- ご報告
日時 : 2019年10月5日(土)12:20~13:20
会場 : 第5会場 幕張メッセ 国際会議場 中会議室302 3F
演者 :

嶋田 一光先生

日本医科大学付属病院 高度救命救急センター
急性・重症患者看護専門看護師

座長 :

藤野 智子先生

聖マリアンナ医科大学病院 看護部 師長
急性・重症患者看護専門看護師/集中ケア認定看護師

抄録 :

※pdfが開きます(85KB)

第21回 日本救急看護学術集会(2019年10月4~5日、会長:獨協医科大学埼玉医療センター 浅香えみ子先生) にてランチョンセミナーを共催させて頂きましたのでご報告申し上げます。

藤野 智子先生
▲藤野 智子先生

嶋田先生
▲嶋田 一光先生

演者の嶋田先生がご勤務されている日本医科大学救急医学教室が運営する高度救命救急センターは、

  • 1977年、本邦最初の救命救急センターとして認可
  • 1993年、第1号の「高度救命救急センター」として認定
  • 東京都第3次救急医療施設として、東京消防庁からの救急患者や、都内を中心とした2次救急病院から、年間約1,600~1,800人の重症救急患者を受け入れている
とのことです。

本セミナーでは、「目は脳の鏡」と題し、[瞳孔測定の意義と実際]について、ご講演頂きました。
中国の儒学者孟子に「目は心の鏡」との言葉があり、「目は、その人の心を映し出す鏡のようなものであり、目を見ればその人の心のさまが読み取れる」と言われています。救急領域に携わる看護師にとっては、目をみること、いわゆる瞳孔の観察は、脳の状態を読み取ることから、「目は心の鏡」に倣い、「目は脳の鏡」との演題を発案されたとのことでした。

まずはじめに

  • 解剖学的側面から瞳孔観察の臨床的意義
  • 救急・集中治療領域において、二次的脳損傷の予防と患者の転帰を回復させるためには、一次的脳損傷から二次的脳損傷へ進行しないよう、早期発見することが重要
  • 瞳孔観察の場合、脳ヘルニアを早期に認知するためにも、薬剤による影響などにも考慮しながら観察する必要性があること

などをお話しされました。

従来のペンライト法による瞳孔測定では

  • 現在の臨床現場では様々なペンライトを使用し、最近では[ソフトLED]と表記された、かなり眩しいペンライトを使用することが多いが、患者さんにとっても眩しいペンライトは不快である可能性がある
  • 問題点として、[測定する環境因子]、[測定者の要因]により、瞳孔測定にバラつきが生じる

具体的には

  • 瞳孔所見の評価は、測定者によって33~38%の誤差が生じる
  • 看護師による瞳孔の評価は、瞳孔径が大きくなるにつれて正確ではない
  • 小児患者ではスケールが使用できず対光反射の見落としや、瞳孔径を小さく評価する

などを論文からご紹介されました。

npi200
▲瞳孔記録計 NPi-200

そして、定量的な瞳孔測定、すなわち具体的な数値で判断することができる瞳孔記録計として[NPi-200]をご紹介いただきました。

グラフ

瞳孔記録計NPi-200の有用なポイントとして

  • 7つの測定項目から、神経学的瞳孔指標[NPi]を計測する
    [NPi]は病態変化の兆候を捉える指標の一つとなる
  • 測定者によるバラつきがなく、客観的な数値で表し、数値をトレンド化することにより、点ではなく、線として経時的に評価することができる

などを挙げられました。

日本医科大学付属病院での瞳孔記録計NPi-200の運用は

  • 瞳孔記録計をナースステーションに配置
  • 5人の患者に対し1台の瞳孔記録計を使用
  • 瞳孔記録計の数値は、電子カルテにも自動的に反映

となっており、患者さんの状態変化が見られた際の医師への報告時、「ペンライトではあいまいな報告であったが、瞳孔記録計を用いることにより、客観的な数値で、明確に報告することができるようになった」と述べられ、具体的症例もご提示いただきました。

最後に

  • 様々な環境下でのペンライトを使用した瞳孔測定は、バラつきが生じ、対光反射も見逃す可能性がある事を周知しなければいけない
  • AACN(米国クリティケア看護協会)、AANN(米国脳神経看護協会)のテキストに、[瞳孔記録計の使用は、測定者の主観を取り除き、客観的かつ定量可能な方法]と記述されている
  • 本セミナーを契機に、今一度、瞳孔観察の意義や重要性を考え、瞳孔測定に関する誤った認識をこれまで持っていたことを理解し、適切な知識をもって医療現場で対応する必要性がある

と締めくくられました。

座長の藤野先生より、「瞳孔スケールを用いて瞳孔測定する際、スケールが目に当たるのではないか、落ちるのではないかと不安を感じることがある。患者さん自身もスケールを目に当てられる事には不安を感じるのではないかと思う」とのコメントがあり、LEDを用いた眩しいペンライトが患者さんにとって不快である可能性や、スケールの使用による患者さんの不安など、患者さんの立場から考えた場合においても、光刺激が少なく、スケールを使用する必要のない瞳孔記録計(NPi-200)は、医療現場の皆様の一助になるのではないかと感じました。

以上のように、本セミナーでは、瞳孔観察の意義と実際、解剖学的側面から瞳孔観察の臨床的意義など、様々な内容をご講演頂きました。救急、集中治療領域の医療現場において、日々、瞳孔観察を実施されているためか、多くの方々にご来場いただき、座席数が足りず、立席でご講演を聴講される方もいらっしゃいました。医療現場の皆様の一助になれるよう、瞳孔記録計の機器提供に留まらず、瞳孔観察における、様々な学術情報も発信できますよう、引き続き、努める所存です。

最後に、円滑な進行で活発なセミナーに導いてくださった座長の藤野先生、素晴らしいご講演をして頂いた嶋田先生に心より感謝申し上げます。

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