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フローアナライザ「CITREX H5」
独立行政法人国立病院機構 仙台西多賀病院 ME機器管理室 主任 臨床工学技士 滝口尚子先生

  • 掲載:2018年09月
  • 文責:レスピラトリ・ケア部
フローアナライザ「CITREX H5」<br>独立行政法人国立病院機構 仙台西多賀病院 ME機器管理室 主任 臨床工学技士 滝口尚子先生
滝口先生 ご略歴
[ 経歴 ]
1995年3月: 東北医療福祉専門学校 臨床工学技術科 卒業
1995年4月: 医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 勤務
1995年5月: 臨床工学技士免許 取得
2001年6月: 国立療養所西多賀病院(現 独立行政法人国立病院機構 仙台西多賀病院)勤務
2006年1月: 3学会合同呼吸療法認定士取得
[ 独立行政法人国立病院機構 仙台西多賀病院 webサイト ] http://www.nishitaga-hosp.jp/

仙台西多賀病院についてご紹介ください。

当院は480床で、脳神経内科と整形外科の2本柱で地域に根差す中堅規模の病院です。
昭和22年に国立療養所西多賀病院としてスタートし、昭和30年代より筋ジストロフィー専門の病棟を開設し、長期療養が必要な筋ジストロフィーの患者さんを受け入れてきた歴史があります。

当時の先生からお話を伺ったことがあるのですが、その当時は筋ジストロフィーの患者さんに人工呼吸器を使用するという概念が無かったようです。しかし、1980年代の後半から90年代の前半あたりにかけて他施設の使用状況を含め人工呼吸器の使用が徐々に普及し、当院でも同じ時期に人工呼吸器の使用を開始したようです。

現在では人工呼吸器管理は慢性期の神経筋疾患患者さんへの使用がメインで、常時140台前後が稼働しています。また、人工呼吸器を使用している患者さんの9割は筋ジストロフィーで、そのほか重症心身障害児(者)と神経難病の患者さんもおられます。多くの患者さんは宮城県内からですが、岩手県や山形県、福島県からの患者さんも多く受け入れています。

病院の外観イメージ画像

滝口さんのご所属部署について教えてください。

私は医療安全管理室という部署に所属しています。普段はME機器管理室で、院内のME機器の保守管理を行ったり、手術室では手術室業務を担当したりすることもあります。その中でメインとなる業務は人工呼吸器関連業務になりますが、これにはスタッフへの教育も含まれます。

スタッフへの教育についてもう少し詳しく教えていただけますか?

先生のイメージ画像

はい。例えば、新採用者研修では、脳神経内科の先生から【呼吸生理】について、リスクマネージャーからは【安全管理】について、私は【人工呼吸器の基礎】について講義します。
また、当院には人工呼吸器に特化したワーキンググループがあり、私もそのメンバーの一人なのですが、そこでインシデント報告の要因分析や、KYT※1、マニュアルの標準化や遵守、使用中のチェックが徹底できているかの確認を抜き打ちでラウンドしたりしています。さらに、ワーキンググループメンバーが中心となって定期的に勉強会を行い、人工呼吸器装着患者さんを担当する看護師さんにテストを実施することで、知識と技術の維持、向上を目指しています。
人工呼吸器は24時間365日稼働している生命維持装置ですから、トラブル対応への教育は非常に重要と考えており、基本的に病棟の看護師さんがトラブル対応できるような教育プログラムの構築を目指しています。当院は臨床工学技士の拘束体制を取っていないため、夜間のトラブル対応は看護師さんが行い、それでも解決できない場合は臨床工学技士に連絡が来る体制を取っていますが、実際に病院まで行かなければならないケースは少ないですね。
※1 危険予防訓練

それでは今回ご導入頂きました、CITREX H5についてお伺いします。CITREX H5をお知りになったきっかけは何でしたか?また、第一印象はいかがでしたでしょうか?

今年の初め頃だったと思うのですが、アイ・エム・アイの営業の方から新商品の紹介ということでCITREX H5のカタログを頂きました。コンパクトで見た目がカッコよく、タッチパネルであるため操作性も良さそうな最近の機械だなと、思ったのですが、当院の人工呼吸器はレンタルを採用しておりますので、点検器具であるなら使用機会は少ないなというのが最初の印象でした。

しかし今回CITREX H5を使ってみようと思われた訳ですが、そのきっかけについてお聞かせください。

当院ではちょうどこの時期に、レジェンドエアからMONNAL T50(以下MT50)への機種変更が決定し、人工呼吸器の乗せ替えを順次行っている時期でした。実は人工呼吸器の乗せ替えは今までも経験しており、すごく苦労していたのですが、これにCITREX H5が使用できるのではないかな?と思ったからでした。

大変興味深いご使用方法ですね。その点については後ほどじっくり伺いたいと思います。
ではまず、今迄は人工呼吸器の乗せ替え時にどのようなご苦労がございましたか?

過去に、LPからレジェンドエア等の機種変更を経験してきました。
乗せ替えの際は基本人工呼吸器の設定は同じにしていたのですが、駆動方式がピストン式からタービン式になると、ピストン式には無い新しい設定項目やフロー波形が出てきます。特に困ったのは、ピストン式の時は単純で計測しやすかったのですが、タービン式は計測できなかった点です。

また、ボリュームコントロールですと気道内圧を基準に考えますが、ピストン式のボリュームとタービン式のボリュームは同じ換気量であってもガスの入り方が異なるので、患者さんの感覚としては“多い”とか“少ない”と言われるケースでは微調整が必要でした。
当時は経皮的に二酸化炭素を測定できるTOSCAも導入していなかったので、夜間の二酸化炭素を測定しながら換気条件を選択するということもなく、患者さん頼りの変更でした。

さらに、レジェンドエアを導入したことによってプレッシャーコントロールを積極的に選択するケースが増えたのですが、当時は全症例でボリュームコントロールのみ使用していた為、人工呼吸器の乗せ替えと共に、換気モードもボリュームコントロールからプレッシャーコントロールへ変更したケースも多くありました。ですから患者さんによっては “人工呼吸器の乗せ替えによって人工呼吸器とのタイミングが合わなくなってしまった” と訴えられるケースが少なからずありました。
一番の問題点は、当時はきちんと客観的なデータで評価することができていないことでした。何が正解か、日々悩んでいました。

患者さまから設定が合わないと訴えがあった際に、客観的データで評価ができない状況で、どのように人工呼吸器の設定を調整されていましたか?

やはり、基本的に患者さんに確認するということですね。
乗せ替え前後の人工呼吸器の換気量設定、又は表示が2機種とも同じであるにもかかわらず、患者さんから合わないという訴えがある場合にはハロースケールのような簡易的な装置を使用して換気量を計って調整していましたが、あくまで参考値程度でした。
その他には、吸気時間から合わせるのか?それともピークフローから合わせるのか?I:E比なのか?など、吸気時間の設定をどうやって決めるかを患者さんに直接聴きながら調整しては確認を繰り返していました。トリガーに関する設定も患者さんの表現は様々で、“早い” “遅い” “多い” “少ない” など、それが何を意味するのかイメージしながら、どうすれば患者さんの意図する送り方になるのか調整していたので、凄く時間がかかっていました。
とりあえず「この設定でいいかな」となっても10~20分経つと「やっぱり違う」とか「眠れない」など訴えられるケースもあり、その際は一旦元の人工呼吸器に戻すこともありました。ですから、人工呼吸器の乗せ替えは1日1件、頑張っても2件程度しか実施できませんでした。
筋ジストロフィーの患者さんは人工呼吸器に自分の呼吸を預けているので、意識しなくても違和感がない呼吸をどうやって器械で再現するか? ということを常に考えています。

非常にご苦労されていらっしゃったのですね。では、人工呼吸器の乗せ替え時にCITREX H5はどのように使用されたのでしょうか?

前提条件として、CITREX H5は医療機器ではないので、患者さんに直接使用することはできませんが、テスト肺を使用することによって設定が同じであっても人工呼吸器が変更されるだけでどのパラメータが変化するのか観察することができますし、原因を客観的な数字で評価できるのではないかと考えました。今年に入ってレジェンドエアからMT50へ乗せ替え作業を行っていますが、基本的に看護師さんと私の2名で行います。

【1】まず、患者さんに人工呼吸器の乗せ替えを行う説明をします。

【2】人工呼吸器からバックバルブマスク(BVM)に切り替えて、看護師さんにBVMを施行してもらいます。

【3】その間にレジェンドエアとテスト肺の間にCITREX H5を接続し、現在の設定で出力されている換気データや波形を記録し終えた後、患者さんにレジェンドエアを再装着します。

【4】それから、乗せ替え後に使用するMT50の初期設定は、基本的にはレジェンドエアの設定を引き継ぎますが、患者さんに装着する前にMT50とテスト肺の間にCITREX H5を接続し、レジェンドエアのデータや波形と比較し、出来るだけ前に使用していた人工呼吸器が出力していたデータに合わせます。

【5】最後にMT50に乗せ替え、完了となります。

本当に画期的なご使用方法ですね。では、CITREX H5を使用して乗せ替えを行ったメリットについてお聞かせください。

何といっても乗せ替えの時間が大幅に減りました。実は、最初の3名はCITREX H5を使用せずに乗せ替えをしていましたが、その内の1名は設定がなかなか決まらず何回も設定の見直しが必要でした。
CITREX H5を使用した乗せ替え患者さんの中で、後で調整が必要となったのは31名中3人ですが、この数字は今迄の運用からは考えられないほど優秀なデータです。もし、CITREX H5を採用していなかったら「どうですか?」「多い?」「少ない?」「タイミングは早いですか?」など全部確認しながら行うことになり、今でも恐らく乗せ替え患者さんの半分も終わっていないでしょうね。
今迄は一日2名程度の乗せ替えが精一杯だったのですが、CITREX H5を導入することによって1時間程度で3名の乗せ替えが終了します。ですから人件費という観点でもメリットはありますね。今後も是非使っていきたいですね。

それでは、ご使用にあたり注意しておくべき点などはございますか?

人工呼吸器の乗せ替えに関連してですが、患者さんが言っていることがその設定のどこを示しているかを理解するのは、非常に難しいです。その様な場面でCITREX H5の有用性は高いですが、あくまでも患者さんの実測を見るためのものではなく、人工呼吸器の動いている状況を確認して、次の機種でも同じ波形になるように見るためのものであるという点です。
あと、余談になりますがCITREX H5でレジェンドエアを見て、MT50を見た感じでは、性能が良いと思いました。ボリュームの漸減波の立ち上がりが全然違いますから。レジェンドより性能が良いですね。

では、CITREX H5の操作性などはいかがでしたか?

先生のイメージ画像

CITREX H5は小さいのでベッドサイドに持っていっても邪魔になりません。また、パソコンを繋げずに数値も波形も確認できる点は非常に便利です。
PF300ですと、本体も大きいですし、本体に波形を表示させることができないため、パソコンもベットサイドに持っていかなければなりませんので現実的ではありません。
また、CITREX H5の画面は解像度も高いので小さい画面でも波形がしっかり確認できますし、波形を止めたり、拡大したりと、スマホ感覚で操作できる点は非常に気に入っています。
今回、機種変更するのに使用しましたが、今後は経過観察にも使用できるのではないかと思います。また、機種変更だけではなく、定期点検で器械を入れ替える時にも使用できると思います。

それでは最後に他のご施設でCITREX H5をご検討されているCE様にアドバイスがございましたらお願いいたします。

慢性期領域で人工呼吸器を使用されている施設では当院と同じような乗せ替え時の問題点は必ずあると思います。「大体同じ設定だと思うからちょっと様子を見ましょう。また後で微調整しますから…」というのとCITREX H5を使用して「ちゃんと測定器を使用して合わせていますよ」、「波形は一緒ですよね?」、「数値も一緒ですよね?」と患者さんやご家族に見てもらうのとでは説得力が全く違います。また、乗せ替えに必要な時間の軽減も期待できますので、患者さんの負担が少なくなりますし、スタッフの有効活用というメリットも大きいですね。
ですから機種変更を考えているCEさんにはCITREX H5をお勧めしたいですね。

病院の外観イメージ画像

貴重なお話を伺うことができました。本日はお忙しい中ありがとうございました。

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