EO-150ベンチレータ
順天堂大学医学部附属練馬病院
- 掲載:2026年03月
- 文責:慢性期・在宅ケアエリアチーム
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順天堂大学医学部附属練馬病院 |
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順天堂大学医学部附属練馬病院 |
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| 小児科 宮野 洋希 先生 |
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| 臨床工学室 臨床工学技士 志村 欣之介 さま |
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| 看護部4A病棟 看護師 後藤 裕美 さま |
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| 看護師 上野 麻衣 さま |
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[ 施設概要 ] 所 在 地: 病 床 数: |
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日頃、どのような患者さんに対して在宅人工呼吸器を導入されていますか?
宮野先生

私が順天堂練馬病院に赴任して3年になりますが、その数年前からNICU、GCUが整備され、生まれつき気管に異常のある先天性疾患の患者さんを多く診療してきました。
さらに、3年前からは3次救急施設となったことで、日々、重症の小児患者さんが搬送されてきます。
そのような患者さんに対して、毎回、在宅調整を含めて「何が必要か」「どのような社会的支援が可能か」をチームで議論し、在宅人工呼吸器が必要な患者さんには、積極的に導入を進めております。
上野さま
無呼吸や笛声喘鳴がある患者さんを医師に報告した結果、呼吸器の導入につながった例もありました。ご家族様も突然死症候群のことなどをテレビで見ているため、体調が良くなって呼吸器が外れた際には、「あの時、ちゃんと装着しておいてよかった」とおっしゃっていただくこともあります。こうした経験からも、気管支鏡の結果などを踏まえ、先生方が適切なタイミングで呼吸器の導入を判断してくださっているのだと感じております。
在宅移行における支援体制として、御院ではどのようなチームや役割分担を行っていますか?
宮野先生
主に、RSTの一員である私が気管支鏡などの結果を踏まえ、在宅人工呼吸が必要だと担当医から連絡を受けた場合には、在宅調整の看護師さん、入退院支援室の上野さん、メインで在宅調整を担当している臨床工学技士の志村さん、そして認定看護師の後藤さんへ介入を依頼し、ご家族との調整を進めていただくよう指示しています。
また、どのような機器を使用し、どのような設定にするかについても、ご家族の状況やご自宅での過ごし方を確認しながら、チームで議論するように指示しております。
在宅移行までのプロセスで、特に意識されているポイントはありますか?
宮野先生
基本的には、患者さんとご家族がどのような生活スタイルで過ごされ、その中で人工呼吸器がどのように必要となるのかを大切にしています。医療的な適応と、ご家族が望まれるライフスタイルをできるだけ重ね合わせながら、何が必要で、何が必要でないのかをしっかりご家族と話し合って調整したい、という思いで日々取り組んでいます。
後藤さま

やはり、ご家族が不安を抱えている点については、言葉だけで説明するのではなく、他職種のスタッフと協力しながら、実際に検証や練習を行い、ご家族と一緒に確認していくことが重要だと感じています。そうすることで、具体的なイメージが固まり、できないことや安全ではないことについても、ご家族が納得した上で、別の方法を検討することができます。不安の緩和につながるだけでなく、満足度も高くなるポイントだと思います。
上野さま
事前にご自宅へ伺い、実際に機器を設置してみて、アンペア数や空調の当たり具合、生活動線などを確認するのも病院の仕事になります。
その際、臨床工学技士の志村さんやIMIの方が一緒に来て確認してくださると非常に安心できますし、ご自宅に戻ったあとで、どのように生活しているのか情報共有できるのはとても良いことだと感じています。
在宅人工呼吸器の運用において、他職種との連携で工夫している点があれば教えてください。
宮野先生
工夫というほどではありませんが、話しやすい雰囲気づくりは意識しています。
日々、後藤さんや上野さんからの相談にも乗りやすいように、気軽に声をかけてもらえる環境をつくれているのではないかと思います。
後藤さま
普段から些細なことでもコミュニケーションを取っているため、部門間の連携は取りやすいですね。
宮野先生
コミュニケーションは密に取るようにはしています。
IMI社員
院内だけでなく、ご家族も含めて、コミュニケーションが取りやすい体制を作るということですね。
“部門間の連携”という面では、やはりRST※としてチームで関わっていることが大きいのでしょうか?
Respiratory Support Team:呼吸サポートチーム
宮野先生
RSTの会議では、こうした患者さんについてスタッフ間で「このリストに新しく加わった方がいる」「こういう症例がある」といった情報を共有し、NICUという閉鎖された空間だけで完結しないように意識しています。
退院された患者さんについても、必要があればこちらから状況を確認しに行き、機器がしっかりフィットしているか、条件は合っているか、設定が適切かといった点を確認するようにしています。
RSTの会議では、そうした症例を共有して全体で把握することを大切にしています。
後藤さま
あとは、慣れるまでは一応「1か月くらいで退院まで進められるように」という導入パスを作っていました。
当初は「これは上野さん」「これは志村さん」という形で役割分担も細かく決めていたのですが、スタッフも徐々に慣れてきて、今ではほとんどパスを使わなくてもスムーズに進められるようになっています。
運用していく中で自然と浸透し、現在では小児病棟では特に必要がなくなりましたが、当時はその流れに沿うことで取りこぼしがないよう工夫していました。
職種ごとのご質問
── 看護師 上野様(入退院支援室)へのご質問
退院前の調整で、特に苦労されることや工夫されている点はありますか?
上野さま

苦労する点を具体的に挙げると、呼吸器を装着した患者さんの“移動”です。
移動をどのように工夫するか、そして意外に人や車種によって大きく変わる“移乗訓練”が必要になります。車によっては非常にスムーズに乗せられる場合もありますし、福祉車両であれば問題ありませんが、車種によってはかなり時間がかかるケースもあります。
そのため、自家用車を使用されるご家庭には、事前に車を持ってきていただき、訓練日を設けるようにしています。ベビーカーやバギーの移乗訓練と同様で、車に関しては退院当日に大幅な時間を要した症例もあったため、特に事前対応を重視しています。
また、物品関連では、吸入器・吸引器などが事前にしっかり揃うよう調整を行っています。
こうした対応を通して、ご家族にもできるだけ簡便で、かつコストを抑えながら安心してご自宅に帰っていただけるよう、日々工夫しながら取り組んでいます。
ご家族への説明や支援で大切にしていることはありますか?
上野さま
以前はあまり聞かれなかったのですが、やはり時期的なこともあり、最近は「災害時に人工呼吸器はどのくらい持ちますか?」という質問をよく受けるようになりました。そのため、災害時の対応については特に丁寧に説明するようにしています。
EO-150は専用バッテリーで8~9時間ほど使用でき、緊急時にはポータブル電源※のような外部バッテリーにつないで対応できることをお伝えすると、皆さんとても安心されます。
こちらから先に説明しておくことで、ご家族はもちろん、地域の訪問診療や訪問看護の方々にも安心していただけます。
編集部注:ポータブル電源は災害時などの非常時にのみ使用し、日常的な使用はお控えください。
災害を想定した対応に関して、実施していることはありますか?
後藤さま
災害時に3日間は持ちこたえられるよう、ご自身で外部バッテリーを準備されているケースもあります。そのため、「外部バッテリーと呼吸器の接続に問題がないか」という点について、こちらがしっかり答えられるようにしておく必要があると感じています。
── 認定看護師 後藤さまへのご質問
認定看護師として、在宅患者さんとどのような関わり方をされていますか?
また、在宅人工呼吸器の患者さんの状況はどのように変化しているとお考えでしょうか?
後藤さま
認定看護師としては、呼吸や循環のアセスメントをしっかり行い、救急の強みを活かして「具合を悪化させない」「急変させない」ことが主な役割になります。
私の場合、人工呼吸器に関する相談を受けることが非常に多かったこともあり、現在のように患者さんが安全に帰宅できるようにサポートを行う体制に落ち着きました。在宅の患者さんに関しては、昔に比べると、人工呼吸器をつけたまま退院される方が大きく増えており、需要の高さを実感しています。
以前は入院期間がもっと長く、風邪をひいただけで1か月以上退院できないことも珍しくありませんでしたが、今は呼吸器の性能向上や治療の進歩もあって、しっかり連携することでスムーズに退院まで進められるようになってきています。小児病棟では、導入から1週間ほどで退院されるケースもありますね。
認定看護師として昨今の人工呼吸器で気になるポイントはありますか?
後藤さま
小児ではカフがなくリークが多いことや、呼吸回数が多いことが特徴なので、トリガーの同調性は特に気になるところです。
また、吸気量・呼気量が表示されてリークの有無がすぐに分かる点も重要だと思います。
ご家族も徐々に人工呼吸器への理解が深まっていくので、パラメータをご自身で確認してご自宅での状況を教えてくださることもあります。
「最近リークが増えているみたいです」といった具合に、具体的にフィードバックをいただける場面もありますね。
── 小児科 宮野先生へのご質問
小児患者における人工呼吸器使用時の注意点や、特有のニーズはありますか?
宮野先生
注意点としては、どのような患者さん・ご家族であっても、どのデバイスやモードを使う場合でも、マスクがきちんとアジャストされているかどうか、気管切開の患者さんであれば人工呼吸器が適切に作動しているか、といった基本的な部分をしっかり確認することを重視しています。
もちろん、これはどの呼吸器にも共通する点ですが、常に意識しているところです。
小児・新生児では自発呼吸が弱い患者さんや、呼吸が不安定な患者さんがいると思いますが、EO-150はトリガー感度を高めつつ、オートトリガーを防ぐ機構を備えています。
実際の使用時に、こうした患者さんでも問題なくトリガーが取れているか、またオートトリガーは発生していないか、お伺いできますでしょうか?
宮野先生
今のところそのようなトラブルはないです。
後藤さま
一度だけ、胸郭のスパズムのような動きをすべて拾ってしまった患者さんがいらっしゃいました。その際はMEさんと相談してトリガー感度を下げて対応しました。
ただ、グラフィックを見れば状態がすぐ分かるので、早めに気づいて調整できますし、大きなトラブルではありませんでした。
院内スタッフやご家族とのコミュニケーションで意識していることはありますか?
宮野先生

上述した通り、院内では人工呼吸器の患者さんが出た際には認定看護師の後藤さんや病棟スタッフの方々と日々のディスカッションを大切にし、連携を取りながら、進めています。
ご家族とのコミュニケーションでは、人工呼吸器と聞くだけで驚かれる方も多いため、気管支鏡での異常や喘鳴の状況を説明し、「なぜ必要なのか」をしっかりお伝えするようにしています。そのうえで機器をお見せすると、「こんなにコンパクトなのですね」と安心される方が多いですね。
その上で、“必要な理由”と“導入することで得られるメリット”を丁寧に説明することを心がけています。
また、終わりが見えないとご家族も不安になるため、定期的な気管支鏡や診察で、不要になったタイミングではきちんと「もう必要ありません」とお伝えし、ライフスタイルが崩れないよう配慮しながら導入するようにしています。
── 臨床工学技士 志村さんへのご質問
人工呼吸器の選定や設定において、特に気をつけている点はありますか?
志村さま

私たちは人工呼吸器を“載せる”ところまでが仕事ですが、ご家族にとっては、そこからがスタートになります。
先ほど宮野先生や上野さんもおっしゃっていましたが、私たちも常に“ご自宅で実際に生活が始まるところ”をイメージして準備するようにしています。
呼吸器の導入を告げられたご家族の気持ちに寄り添うと、最初に目にした機械の印象はとても大きいと思います。
実際、ボタンがたくさん付いた機械と、ほとんどボタンが付いていない機械では、受け入れやすさが全く違いますし。
そういう意味ではEO-150を導入してからは、色合いやデザイン、ボタンがないシンプルなフォルムのおかげで、ご家族の“受け入れやすさ”は上がりました。
臨床工学技士として在宅支援に関わる頻度や内容を教えてください。
志村さま
導入時はもちろん、急性期で再入院してきた際や退院する時も、各部署と連携しながら頻繁に対応しています。
患者さんとも普段から密にコミュニケーションを取っていて、呼吸器や回路について直接質問をいただくこともありますし、長い方だと十年以上寄り添うことになりますので、まさに“載せてからがスタート”です。
成長期にはマスクの変更やサイズアップなども必要になり、その都度調整しながら支えていく形になります。
実際に在宅に移行する際は、その在宅先まで行かれることもありますか?
志村さま
よくあります。やはり病院を出てからが本当に大変で、先ほども話に出たように、車へ乗せたり降ろしたりするだけでもご家族にとっては大きなハードルになります。
「一緒に行きます」と伝えるだけで、ご家族も「とりあえず家までは行けるんだ」と安心されますし、実際にご自宅に伺うことで、設置環境など注意すべき点もこちらが気づくことができます。ご自宅に入るのは確かに踏み込んだ対応ではありますが、すべての家が同じではない以上、それぞれに考えるべきポイントが必ずありますし、そこは特に気をつけたいところです。
皆様へのご質問
現在の在宅人工呼吸器運用において、課題に感じている点があれば教えてください。
上野さま

課題としては、現在運用している人工呼吸器にぴったり合う吸入器が必要だと感じています。できれば小児慢性や障害の給付の中で購入できると、患者さんやご家族にとっても負担が少なく理想的ですね。
また、呼吸器のモニター上でSpO₂が確認できるようになれば、別の機器を用意する必要がなくなるため、退院後の在宅生活でもより便利になると思います。
後藤さま
呼吸器をベビーカーに載せるとなると、別途モニターの設置位置も考えなければならず、全体のバランスが悪くなってしまいます。
さらに吸引器も一緒に持ち歩く必要があるため、どうしてもベビーカーが不安定になりやすいですね
EO-150を導入いただいたきっかけを教えていただけますか?
志村さま
正直なところ、紹介いただいたタイミングがよかった、ということが一番の理由ですね。
医療相談室での許可手続きや、小児科での勉強会も円滑に進めていただいたことで、導入まで非常にスムーズに進んだと感じています。
実際に使用されてみて、良かった点・助かった点はありますか?
宮野先生
まずアラームの視認性が良い印象があります。
また、軽量でコンパクトにまとまっていて、医師用のモードへの切り替えがしやすい点も気に入っています。
ほかの機械だと、何度説明を聞いても分かりづらいものもありますが、EO-150はそういった操作性が良いですね。
さらに、グラフィックが見やすいので、患者さんの調子が悪い時や設定を見直す必要がある時に、状態を把握しやすい点も大きなメリットだと感じています。
志村さま

先に述べたポイントですが、ボタンがないシンプルな操作性と色合いも含めたデザイン性で患者さんの“受け入れやすさ”が良い点だと思います。
また、特に気管軟化症患者さんの場合、生後3 か月前後で人工呼吸器の導入を検討するため、「3.5kg から対応できる」というのは本当に大きいポイントです。
これまで使っていた呼吸器は5kgからの対応しかなかったので、その差は大きいと思います。
上野さま
在宅調整を担当する立場としては、軽量でコンパクトであることに加え、マスクのフィッティングが簡単だった点がとても良かったです。
あとは、移動用のリュックも便利ですね。
後藤さま
患者さんはサービスを重要視される方も多いので、IMIさんのサポート体制やフォローがご家族にとっては1番良かった点だと思います。
改善してほしい点や、追加してほしい機能などはございますか?
宮野先生
私たちがまだ経験していない課題として、“災害対応”があります。
東日本大震災のような大規模災害で、東京全体が停電した場合の対応については、正直まだ十分に想定できていません。
今後は、人工呼吸器を導入するうえで、御社とともに災害時の対応策をしっかり検討していきたいと考えています。
後藤さま

EO-150は下部が丸くなっているため、ポジションを調整するには専用スタンドが必要になります。ただ、患者さんが慌てていると、このスタンドの足を紛失してしまうことがあり、なくすと本体が自立できなくなってしまいます。可能であれば、本体だけで自立できるようになると助かりますね。
また、NPPVで使用する場合、マスクとバンドが合わないお子さんもいます。特に小さい子どもは顔のパーツや頭のサイズ、形は個人差が大きいのでマスクとバンドを別々に選べるようになると、こちらとしても対応しやすいと感じています。
志村さま
ご家族に資料をお渡しする際、紙だけでなく、QRコードなどで確認できる機器説明の動画があると良いと思います。
もちろん患者さん、ご家族の目の前でも説明しますが、ご家族としてはご自宅でも改めて見たいはずなので。
次世代型の説明資料として、ぜひそういった形を取り入れていただけたら嬉しいと感じています。
EO-150の導入を検討中のご施設さまへアドバイスをお願いします。
後藤さま
私たちは小児をメインに対応していますが、特に気管切開の場合は、カフがなくても、呼吸数が多くても、トリガーがしっかり取れるので、とても良いなと思います。
小児では特に導入しやすい機種だと感じています。
上野さま
専用バッテリーがあって、その持ちが良いという点は大きいですね。専用品を使えるのは安心感があります。
いまはご家族やご実家と離れて暮らしている方も多いので、「おばあちゃんに会わせたいから、呼吸器を持って飛行機に乗りたい」というケースもあると思います。そうした場面でも、専用バッテリーがあるのはとても心強いですね。
志村さま
トリガーが80mmsecと優秀で、小さい子でも、頻呼吸の子でもトリガーが追いつけるので本人たちも受け入れがスムーズですし、この機器があるからこそ、生後3か月の赤ちゃんたちがスムーズに呼吸器を装着して退院できているのだと感じています。
貴重なお話を伺うことができました。
お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
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