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気体の状態による体積(換気量)の変化について

  • 掲載:2026年02月
  • 文責:安全管理
気体の状態による体積(換気量)の変化について

人工呼吸器の吸気ガスは、加温加湿器のチャンバを通って加温加湿されると体積が増えることをご存知でしょうか。

人工呼吸器の換気量測定時、気体の状態によって測定器(PF-300等)の設定をBTPD、BTPSなどに合わせることから、気体の状態による体積の変化について馴染みがあるかもしれませんが、気体は温度、湿度、圧力の影響を受け、体積が変わります。

今回は、人工呼吸器を語るうえで切っても切れない、気体の状態に関する基礎的なお話をさせていただきます。

ボイルシャルルの法則

気体には、温度、圧力、含まれる分子の量が変化すると、体積が変化するという特徴があります。
これら3つの条件変化による気体の体積変化について、以下のイメージ図を用いてご説明いたします。

1)温度上昇 ➔ 体積増加

気体の温度が上昇すると分子の熱運動(動くスピード)は増します。一定量の気体をピストン付きシリンダーの中に入れ、圧力が一定(大気圧)の状態にて気体の温度が上昇すると、分子の動くスピードが増し、分子が壁に勢いよく当たり衝突回数も増えることから、気体の圧力は上昇します。ピストンを押さえる圧力は一定であることから、ピストンが持ち上げられ、結果、気体の体積が増えます。

イメージ図

2)圧力低下 ➔ 体積増加

周囲の圧力が下がると気体の体積は増加します。高地では大気圧が下がりますが、山登りなどで密封されたお菓子の袋がパンパンに膨らむことを経験された方もいらっしゃるかと思います。

先ほどのイメージ図を用いると・・・大気圧が下がるとピストンの押さえが弱くなることから、気体の体積が増加することがわかります。

イメージ図

3)分子量の増加 ➔ 体積増加

分子量が増加すると、分子の衝突回数は増えることから圧力が上昇し、結果、体積が増えます。

このことから、人工呼吸器の吸気ガスが加温加湿器を通り、水分を含むと、水(H2O)分子(=水蒸気)の増加により換気量が増えることが想像できるかと思います。

イメージ図

上記の圧力、温度、含まれる分子量と気体の体積の関係は、以下の式によって示され、この関係をボイルシャルルの法則と言います。

上記の式から、以下の関係が成り立つことがわかります。

温度↑=体積↑

圧力↓=体積↑

分子量↑=体積↑

上記の通り、気圧が下がると気体は膨張します。人工呼吸器を使用して、低地と同じ分子量の気体を患者様へ提供する場合には、高地では膨張した分だけ換気量を増やす必要があります。
例えば、タービンの回転によって、外気を取り込み送気を行うVELAでは、「使用場所の標高」を入力する必要があります。仮に「実際の標高」よりも「高い標高」を入力した場合、低地と同じ分子量の気体を患者様へ提供できるよう、タービン回転数を上げて換気量を増やします。
一方、同じタービン駆動方式であっても、MONNAL T50やMONNAL T60のように周囲の気圧を自動で計測し補正を行う人工呼吸器もあります。
さらに、VELAとは異なり、標高が高くなっても低地と同じ換気量(気体の体積)を維持するための補正を行っています。
これは、気圧の低下による換気量の増加によって、患者様への圧損傷を防ぐコンセプトで設計されているためです。
このように、気圧変化に対する換気量の補正方法は、人工呼吸器によって異なります。

気体の状態を⽰す英字(4⽂字)

前項のボイルシャルルの式からわかるように、気体の体積は温度、圧力、分子量によって変わることから、呼吸管理における気体の状態はこの3つの要素を含んだ以下の英字(4文字)で示されます。

気体の状態を⽰す英字

まず、前の2文字が温度を示します。
3文字目のPはPressuer(圧力)で、全てPで大気圧(760mmHg)の状態を示します。
4文字目は乾燥状態か、飽和水蒸気状態かを示します(これが分子量の増減を示します⇒飽和水蒸気状態では、H2(水)の分子が増加)。

英字の説明
英字の説明

【参考】当社人工呼吸器での換気量の違い

多くの人工呼吸器は、1回換気量が設定されると、加温加湿された状態(BTPS状態)でその設定値になるよう補正して器械が吸気ガスを送ります。

VELAは、タービンで取り込む外気を水分を含んだ状態(ATPS)であると想定し、補正を行っています。
一方、タービン駆動式であっても、elisa300/500のように、取り込む外気を乾燥ガス(ATPD)と想定して補正を行う人工呼吸器もあります。また、配管ガスをガス源とするelisa600/800でも、乾燥ガス(ATPD)であると想定して補正を行っています。
そのため、加温加湿による吸気ガスの増加量は以下のように異なります。

VELA ATPS ➔(加温加湿)➔ BTPS(温度の上昇分だけ体積が増える)
elisa300/500
elisa600/800
ATPD ➔(加温加湿)➔ BTPS(温度の上昇分+水蒸気の上昇分の体積が増える)

加温加湿によって予想される吸気ガスの増加分を減らして送気を行っています。
VELAは温度の上昇分だけを考慮して、500mL設定に対して475mL(-25mL)吸気ガスを送っています。
elisa300/500やelisa600/800では、温度+水蒸気の上昇分を考慮して、500mL設定に対して445mL(-55mL)の吸気ガスを送っています。

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