いま読みたい! 人工呼吸管理にまつわるギモン【人工呼吸管理/モード】
夜間無呼吸でSpO2が下がったり上がったりを繰り返す患者さんの酸素投与量はどのように対応するのがベストなの?
- 掲載:2025年08月
- 文責:メディカ出版
サクッとアンサー
- 夜間にSpO2の上下動を見たときには、まず初めに原因を考えましょう。SpO2低下が無呼吸によって生じている場合は、患者の併存症やSpO2低下の程度、症状に注目して酸素投与を行うかを決定します。
- 過剰な酸素投与によって高二酸化炭素血症が増悪する可能性があり、注意が必要です。
じっくりアンサー
まずは原因を検索する
ここでは、夜間の無呼吸によってSpO2が下がったり上がったりを繰り返す患者への対応について解説します。
〇 覚醒時の呼吸状態が悪化しているケース
夜間にSpO2の上下動を見たときには、初めに原因を考えましょう。モニターが体動の影響で外れていないか、バイタルサインに変動はないか(発熱があれば肺炎を新たに起こしているのかもしれません)を確認するほか、一度患者を起こして、自覚症状の有無や覚醒時のSpO2低下がないかを確認しましょう。覚醒時の呼吸状態が悪化している場合には、通常の指示通りの酸素投与を行った上で、急性呼吸不全として原因検索を行うことが重要です。また、心不全では横になると症状が悪化すること(起坐呼吸)が知られていますが、そのほかにも夜になって日中と体位が変わることで呼吸状態が悪化する疾患があります(理解が深まる! ベストな図解)。

《 クリックで拡大 》
〇 睡眠関連呼吸障害が疑われるケース
覚醒時の呼吸状態が日中と変わりなく、睡眠時の無呼吸に一致したSpO2の低下と呼吸再開によるSpO2の上昇が観察される場合は、睡眠関連呼吸障害が疑われます。睡眠関連呼吸障害の中で最も有名なのは閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)ですが、急性期病棟に入院中の患者では中枢性睡眠時無呼吸が生じていることも経験します。
OSAの患者のSpO2モニターの特徴的な所見として、気流閉塞によるSpO2の低下と呼吸再開による上昇を反映した、スパイク状のSpO2低下が挙げられます。特にREM期には呼吸筋の活動が低下し、上気道も虚脱しやすくなるため低呼吸が生じやすくなります。周期的なスパイク状のSpO2低下はREM同期性の低酸素を示唆し、治療方針を決める上でも有用な所見です。
SpO2低下を見ると酸素投与を行いたくなりますが、夜間睡眠時に酸素投与を行うと無呼吸の持続時間が長くなり、高二酸化炭素血症を生じさせる可能性があります。特にCOPDなどの慢性呼吸器疾患や神経筋疾患のある患者は、過剰な酸素投与によって高二酸化炭素血症が増悪するリスクが高いため、注意が必要です。
〇 夜間の酸素投与が考慮される症例
COPD患者の睡眠時無呼吸によるSpO2低下(≤88%)では、低酸素血症に起因する徴候や症状を伴う場合に夜間酸素を考慮してもよいとされています。低酸素血症に起因する徴候や症状として、認知機能障害、夜間の落ち着きのなさ、朝の頭痛、肺高血圧症、赤血球増多症などが挙げられます。酸素投与を行うときには、SpO2を90~95%の範囲で維持することが一つの目安とされています。CO2貯留リスクが低い患者や、換気補助療法が十分に行われている患者では、積極的に酸素投与を行うこともあります。
〇 OSAの治療
酸素療法についての説明を行ったところで、最も一般的なOSAの治療について簡単に触れておきます。OSAでは、無呼吸と低呼吸の回数によって重症度が決められます。1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計が20回以上の患者では、CPAPによる治療が可能です。それに満たない回数の患者では、口腔内装置(マウスピース)や体位の工夫による介入を行います。
OSAの患者の約半数では仰臥位時に無呼吸が悪化するため、仰臥位以外の体位で睡眠をとるなどの体位の工夫が有効なことがあります。睡眠時無呼吸によるSpO2の低下を疑った場合は一度試してみるとよいかもしれません。体位の工夫で改善した場合にはOSAがより疑われるので、睡眠時ポリソムノグラフィによる詳細な評価やCPAPなどの治療方針の検討を行う必要があります。
いま読むべき![エビデンス]
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する夜間酸素療法の効果を報告した研究を紹介します。Phyuらによる9つの研究のメタ解析1)では、夜間酸素投与は空気投与と比較してAHI(無呼吸低呼吸指数:1時間あたりの無呼吸・低呼吸イベント数)を有意(-15.17、95%信頼区間:-19.95~-10.38、p<0.00001)に減少させたことが報告されました。その一方で、CPAPは酸素投与と比較してAHIをより改善するほか、血圧を低下させることも報告されており、やはりOSAS治療のゴールドスタンダードはCPAPといえるでしょう。
【 引用・参考文献 】
| 1. | Phyu, SL. et al. Nocturnal oxygen therapy in obstructive sleep apnoea: a systematic review and meta-analysis. Eur Respir Rev. 2024, 33(171), 230173. |
| 2. | Badr, MS. MD. Sleep-related breathing disorders in COPD. Post TW, Ed). UpToDate. Waltham, MA. UpToDate Inc. http://www.uptodate.com(2024/9/23閲覧) |
提供元:みんなの呼吸器 Respica 2025 vol.23 no.1(メディカ出版)
関連商品
関連商品はありません。
関連記事
関連記事はありません。





