ヨーロッパ麻酔学会訪問記
- 掲載:2008年06月
5月31日~6月2日の3日間、デンマーク、コペンハーゲンでヨーロッパ麻酔学会(ESA European Society of Anaesthesiology 2008)が開催されました。観測以来、5月では最長の日照時間を記録したデンマークでは、学会期間中となった6月の第一週も続けて雲一つ無い晴天に恵まれました。この時期、夜9時を過ぎても太陽の沈まないこの国では、3時頃の気温が一番高く、一部地域では30度に達したところも有ったとか・・。
湿度は低くまさにベストシーズンと呼ぶに相応しい時期、場所での学会開催となりました。 早速ホテルについて会社に電話を入れると、東京ではこの日入梅とのこと・・。 お土産がないと怨まれそうです。 皆さんには申し訳ない気持ちで一杯の出張初日となりました。 機器展示会場に入ると、約100社による展示が行われていました。
やはり一番の話題を集めていたのはビデオ喉頭鏡やLMAなどのAirway Management関連機器ではありますが、私個人が興味をそそられたのはキセノンガス対応の麻酔器を3社も展示していた点でした。 展示員さんから話を聞くと、キセノン麻酔の歴史は古くからあり、希ガスであり環境に良い点、Mac70%程度で単独の麻酔ガスで麻酔を行える点、副作用が少ない点など多くのメリットがあり、早くから注目はされてきたが、コスト面から中々一般化されていかなかったとのこと。
しかし、麻酔器の性能も上がり低流量下での麻酔が可能となり、また近年環境問題が大きく取沙汰され2005年にドイツでは麻酔ガスとして認可されるなど、改めてキセノン麻酔が見直され始めたということでした。
環境に対する取り組みといえば、開催国であるデンマークは環境問題に対する意識が高く、飛行機がコペンハーゲン空港へ着陸の際、空から海岸線を見下ろすと、海岸沿いには風力発電の風車が並び、街中を歩くと乗り捨て可能の無料レンタル自転車がいたるところに設置されています。
ご存知のように、デンマークでは国民生活は国の責任において保障され、医療、教育、年金は全て無料で受けることが出来る反面、日本では考えられないような高額な税金(所得税50%、消費税25%、車購入時の税金140%など)が課せられ、取るところからは取るといった行政が行われています。
静かに贅沢をせず、食事はできる限り家族とり、日の光を大事にしながらのんびりと暮らせば、老後の心配もない皆平等な社会に暮らすことが出来る国。こういった風土から本当の医療や環境に対する問題解決がされていくのでは無いかとつくづく感じました。
日本に戻りキセノン(Xenon)を辞書で引いてみると、水分子と交わりにくいからでしょうか、語源はギリシャ語で「奇妙な」「馴染みにくいもの」を意味するxenosから取ったとのこと。経済社会や資本主義社会などに馴染むかどうかは人間の都合に過ぎず、本来、自然界に存在し、生物や環境にとても馴染むはずのガスが皮肉なものです。
(市場開発部 木本)
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