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Arctic Sun アークティックサンに関するQ&A集

  • 掲載:2007年07月
  • 文責:クリティカル・ケア部
Arctic Sun アークティックサンに関するQ&A集

Arctic ジェルパッド

Arctic ジェルパッドでは熱伝導に優れたハイドロゲル層、フィルム層、断熱性に優れたフォーム層の3層構造。水に直接触れることなく装着部位をむらなく冷却します。

[Q]4つのArctic ジェルパッドをすべて使用すべきですか?

[A]パッドサイズ表で患者さんのサイズに合ったArctic ジェルパッドを貼り付けてください。体表面積(BSA)の約40%を少なくとも4つのArctic ジェルパッドで覆うことが必要です。

[Q]患者さんの四肢(一部)が切断されている大腿切断(AKA)のような場合、4枚のArctic ジェルパッドを使用する必要はありますか?

[A]患者さんの四肢の一部がない場合、その失われた分だけ全体の体表面積が少なくなります。利用できる体表面積の40%は被覆してください。

[Q]なぜ5日毎にArctic ジェルパッドを交換しないといけないのですか?

[A]ハイドロゲルに含まれる水分がArctic ジェルパッドの皮膚への密着性及び熱伝導率に影響するゆえ、患者さんの体温調節能力にも影響を与えます。Arctic ジェルパッドに湿り気があり、密着していることを定期的にチェックしてください。ハイドロゲルが皮膚に均一に密着しなくなったら、Arctic ジェルパッドを交換してください。このため少なくとも5日毎に交換してください。

[Q]違う患者さんにArctic ジェルパッドを再使用できますか?

[A]常にシングルペイシェントユースで使用してください。

[Q]Arctic ジェルパッドを装着する前に患者さんを清拭する必要はありますか?

[A]いいえ。しかしArctic ジェルパッドは清潔で乾燥し、傷の無い部位に装着してください。皮膚が乾燥していない場合、ハイドロゲルが皮膚から水分を吸い、密着性が損なわれます。

[Q]患者さんを清拭するためにArctic ジェルパッドを毎日取り外す必要がありますか?

[A]ハイドロゲルは生理的にバランスのとれた環境を提供するため、毎日清拭する必要はありません。定期的な看護でArctic ジェルパッド下の皮膚を観察する必要があります。

[Q]もろい皮膚(皮膚裂傷、腹水、浮腫)にArctic ジェルパッドを貼るときはどうでしょうか?

[A]傷のない皮膚にArctic ジェルパッドを貼る事が重要です。ハイドロゲルは生物学的適合性があり、製造元が推奨する方法で使用すれば、毛や皮膚が引っ張られるようなことはありません。ハイドロゲルはクリーンですが、滅菌されてはいません。このため、傷の上には貼らないでください。Arctic ジェルパッドを貼っている皮膚の状態を頻繁に(4~6時間毎に)チェックすることが重要です。

[Q]Arctic ジェルパッドは除細動パッドを装着する際に邪魔になる事はないでしょうか?

[A]体表面積の一部がペースメーカーのパッド等で使われますが、看護の際に問題とならないように注意してください。常に電極パッドは患者さんの皮膚に直接貼り付け、Arctic ジェルパッドはその上から貼り付けてください。 

[Q]もし、患者さんが汗をかいている場合は?

[A]Arctic ジェルパッドは皮膚から損失した水分を吸収する事ができます。Arctic ジェルパッド内を冷却水が流れる事で発汗を最小限にします。Arctic ジェルパッドを装着する前に、患者さんの体を乾燥させている事が重要です。

[Q]ドレーンチューブや胃チューブ(Gastric-Tube)を使用する際は?

[A]チューブ挿入部分(ドレッシング部分含む)にArctic ジェルパッドが触れないようにするため、Arctic ジェルパッドの白い保護シートは張り付けたまま、Arctic ジェルパッドを折り返して貼り付けてください。

[Q]腹部を切開(腹部手術後など)された患者さんに対しては?

[A]切開部位から離すようにArctic ジェルパッドを折り曲げて使用してください。Arctic ジェルパッドは必ず傷の無い皮膚に貼るように注意してください。 

[Q]患者さんが失禁(大便を含)するような場合は?

[A]Arctic ジェルパッドの外側が汚れた場合は、石鹸や水で汚れを落とすことができます。Arctic ジェルパッドの内部(ハイドロゲル部分)が汚れた場合は、Arctic ジェルパッドの交換が必要です。

[Q]ラテックスフリーですか?

[A]Arctic ジェルパッド及びArctic Sun本体共にラテックスフリーです。

TEMPERATURE MONITORING 温度モニタリング

Arctic ジェルパッド

目標体温までの時間を表示する「カスタムメニューディスプレイ」、直近5分間の体温変化を表示する「体温トレンドインジケーター」、水を速やかに回収する「排水モード」等を完備。

[Q]最初、膀胱用温度プローブをArctic Sunに装着したところ、とても低い値が表示されたのはなぜ?

[A]温度プローブを包装から取り出し、患者さんへ装着後にサーミスタが患者体温に順応していくために数分間の時間が必要となるからです。包装から取り出した時点では、体温と比べサーミスタの温度は低くなっています。サーミスタの読み取り値が安定しているにも関わらず、フォーリーカテーテル(膀胱用温度プローブ)を挿入後15分くらい経った時に温度測定値がやや上昇す ることは珍しいことではありません。この場合の温度上昇は、temperature spike(体温の一時的上昇)やシバリングを示しているわけではありません。

[Q]フォーリーカテーテル(膀胱用温度プローブ)は尿量が一定以上なければ信頼性がないので、患者さんが必要最低限の尿量を出せるかどうかが問題となるのでは?

[A]患者さんが低体温状態になると、通常は尿量が多くなるので、排出される尿量の増加が見られることを確認してください。30cc/h以下に尿量が低下するような場合は、膀胱用温度プローブの製造元に正確な値を読み取れる最小尿量(流量)を確認してください。一部の施設では膀胱注入を行って膀胱温をモニタしています。しかし、この処置によって温度の正確性が損なわれることがある事を心にとめておくことは重要です。膀胱温を正確に測定するには尿量の排出量に依存します。正確に測定するためには、膀胱温プローブの製造元が推奨する最小尿量を超えていることを継続的に確認してください。

[Q]サーミスタのフィラメントに金属を使用している膀胱用プローブや直腸用プローブはMRIで問題となりませんか?

[A]Smith社/Level 1社製フォーリーカテーテルに関しての文書があり、Medivance社ではこの文書を元に、これらのカテーテルはMRIで使用可能としています。その他のプローブのMRIにおける使用については、各社製造元へお問い合わせください。Medivance社より提供しているArctic Sun(ケーブルを含む)及び直腸用プローブは、MRIで安全に使用できるとは言えません。MRI装置 が作動する前に、MRI室から室外に出してください。MRIで使用する機器や用具については、製造元にMRIでの使用についてお問い合わせください。

[Q]スワンガンツカテーテル(PA)をArctic Sunの体温コネクタに接続、あるいはLicoxカテーテルを利用してArctic Sunをコントロールできますか?

[A]できません。Arctic SunはYSI400シリーズのプローブと互換性がありますが、通例、スワンガンツカテーテル(PA)は、YSI-400シリーズ同等品に求められる事項に適合しません。

PATIENT MANAGEMENT 患者管理

患者管理

[Q]患者さんが褥創予防用ベッドに乗っている場合は?

[A]Arctic Sunはあらゆるベッドに対応できます。Arctic ジェルパッドは傷のない部位に装着してください。

[Q]目標体温を34℃に設定しており、現在の患者体温は33.6℃です。何をすべきですか?

[A]オートモードで使用を続けてください。1時間毎に水温と患者体温を記録するようにしてください。Arctic Sunは患者体温をモニタリングしながら、目標体温に到達するように、自動で水温をコントロールします。いくつかの要因がオーバーシュートを引き起こします。それらの要因には、鎮静開始の遅れ、鎮静度合いの変化、血管作動薬の投与、血行動態の変化が含まれます。 

[Q]Arctic Sunを昇圧剤と併用するに当たり知っておくべきことはなんでしょうか?

[A]低体温状態と昇圧剤は両方とも血管収縮を引き起こし、末梢血流が低下するので治療と投与を同時に行うことは慎重にすべきです。皮膚の血管収縮は、低体温中または皮膚が冷やされる時に手と足での動静脈シャントによって起こります。しかし、この血流は毛細血管の血流とは別ですので、皮膚潅流は中断されるべきではありません。複数の昇圧剤を投与した場合、不釣合いな皮膚の血管収縮が起こり、さらにそのために可逆的な着色斑点形成及び紅斑が起こることがあります。

[Q]水温が低くなった場合、患者さんは凍傷を起こすことはありませんか?

[A]1時間毎に水温をチェックしてください。患者さんが4時間経っても目標体温に到達しない、または水温が8時間以上にわたって10℃以下の場合は患者さんが冷たい水温に曝される時間を最小限にするため、取扱説明書の「5.3.トラブルシューティング」を参照し、適切な処置をとってください。Arctic Sunでは凍結は起こりませんが、最低水温は4℃にまで下がります。皮膚が低温に曝された場合は、血管収縮が起こります。ただし、微小循環や毛細血管への血流は止まりません。

[Q]水温が10℃以下にとどまる原因は?

[A]患者さんに視床下部障害がある場合は、別のセットポイント(37℃以外)まで患者体温を上昇させるために発熱が起こります。これに対し、Arctic Sunでは目標体温に到達しようとするために水温が自動調節されます。 障害が強い場合は、水温が長期間にわたり10℃以下に保たれることがあります。 シバリングは代謝を増大し、熱を発生させます。シバリングが長引いた場合は、水温は長い間、低いままとなることがあります。感染がある場合、患者さんは発熱し、Arctic Sunの水温は低くなります。

[Q]Arctic Sunによる温度管理がspike(体温の一時的上昇)をマスキングしている場合、患者さんが感染による発熱をしていることをどのようにしたら発見できるのでしょうか?いつ感染の検査をすべきなのでしょうか?

[A]温度管理がうまくいっている場合は、体温トレンドインジケーターは体温制御中立域(thermo neutral zone)内に収まります。Arctic Sunの水温が低下する場合は、患者さんが発熱していることを示しています。1時間毎に患者体温を記録する際に、同時に水温も記録してください。記録時に水温が低い場合は、患者さんは発熱しています。水温が低いということは、患者さんを冷やすためにArctic Sunが活発に作動していることを示しています。検査結果を含め、感染のリスク及びその兆候について評価してください。感染が疑われる場合は、感染の検査してください。

SIVERING シバリング

シバリング

[Q]私が受け持っている患者さんはシバリングを起こすでしょうか?

[A]生理学的に冷やされ、シバリングを起こす閾値を超えた場合は、どのような治療が行われているかに関わらず、シバリングが起こりうります。hypothalamic injury(視床下部障害)のある患者さんの場合は、シバリングを起こす閾値を含め、あらゆるset pointが上昇するため、患者さんを通常体温に戻すために冷すことも、シバリングの原因となることがあります。冷却の導入期では、通常、シバリングを起こす閾値を超えてしまうため、シバリングを起こすことを予想して積極的に治療することが重要です。発熱を治療しているときに全ての患者さんがシバリングを起こす訳ではありませんが、患者さんを冷やす前にシバリングの対策をしておいてください。

[Q]Arctic Sunの水温を記録している際に水温が突然下がった場合、一時的な発熱(fever spike)とシバリングの違いはどのように説明できるのでしょうか?

[A]患者さんが熱を出している場合、看護及び医学的判断において、一時的な発熱(fever spike)とシバリングの違いを識別することが求められます。

■患者さんが感染を起こしているリスクがあります。患者さんを観察してください。
感染の兆候を探し、感染があれば適切に対処してください。

■患者さんがシバリングを起こしていないかを評価してください。
患者さんが冷たい場合は、シバリングを起こす閾値まで低下する可能性があります。導入期や冷却中、シバリングはコントロールされている必要があります。シバリングを起こさない、あるいは取り除くため、以下の質問をしてください。


「シバリングをコントロールする薬剤が最後に投与されたのはいつ?」

「足に通常にはないelectromechanical activityを感じますか?」

「下顎や胸の筋肉にvassiculatingは起きていませんか?」

「Arctic Sunのトレンドインジケータの▽△に変化は?」


これらの質問に対しひとつでもYesである場合は、シバリングのコントロールに取り掛かることを検討してください。

Arctic Sun について

Arctic Sunについて

[Q]バッテリによるバックアップは?

[A]バッテリによるバックアップはありません。病院の他の場所に移動する場合は、いったん電源をOFFにしてください。冷却を再開する際は、医師の処方通りの設定となっていることを確認してください。また、Arctic ジェルパッドを外す際は、事前に水抜きをしておいてください。電源がいったんOFFにされると、設定値は記憶されていません。Arctic Sunがいったん停止された後に、再スタートされた場合は、患者体温コントロールのためのアルゴリズムも再スタートします。そのため、水温は短時間ではありますが、ふらつくことがあります。

[Q]本体水槽内でのバクテリアの繁殖をどのようにして抑えればよいのでしょうか?

[A]本体水槽には、抗微生物/抗真菌洗浄剤を注入してください。注水によって洗浄剤が希釈されないようにするため、Arctic ジェルパッドには少量の薬剤が含まれています。そのため、Arctic ジェルパッドは患者さんに使用後は、廃棄してください。Arctic Sun 2000を所有されている場合は、3ケ月に一度は本体水槽から廃液を行った後、滅菌水あるいは蒸留水、及び循環水用洗浄液の再注入を行ってください。

[Q]操作の終え方は?

[A]Arctic ジェルパッドから水を排水してください。Arctic ジェルパッドを丁寧に患者さんの皮膚から剥がしてください。使用したArctic ジェルパッドは廃棄してください。その際、病院の廃棄基準に従ってください。病院で認められている薬剤で、注水ラインとArctic Sun本体を清拭してください。


【参考文献】

  1. Letter from Smiths Medical ASD, Inc 12/05
  2. Foley Catheters with Temperature Sensors. MRI Safety, 2001.
  3. Mayer, SA & Sessler, DI (Eds)(2005) Therapeutic Hypothermia. Boca Raton: Tayler & Francis Group, p.7-8.
  4. Mayer, SA, Commichau, C, Scarmeas, N, Presciutti, M, Bates, J, Copeland, D. Clinical trial of an air circulating cooling blanket for fever control in critically ill neurologic patients. Neurology 56: Feb2001.
  5. Mayer, SA & Sessler, DI(Eds)(2005) Therapeutic Hypothermia. Boca Raton: Tayler & Francis Group, p.68.

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