令和8年度診療報酬改定の概要について②
- 掲載:2026年05月
- 文責:事業企画推進部
令和8年度診療報酬改定の概要が公開されました。
前回に引き続き、令和8年度診療報酬改定についてトピックスをまとめます。今回はハイケアユニット入院医療管理料と一般病棟入院基本料を中心に取り上げます。
(図表:赤字は主な改定箇所を示します)
ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準の改定
急性冠症候群の治療後や心停止からの蘇生後など、集中的な観察や治療が必要な患者に適切な医療を提供するため、ハイケアユニット(以下、HCUと表記)における重症度、医療・看護必要度の評価項目が改定されます(図1)。重症の救急搬送患者や全身麻酔手術後の患者に対して高い密度の医学的管理を行うことが、HCUを有する病院の重要な役割であることから、一定以上の救急搬送件数または全身麻酔手術件数を有することを施設基準として新たに求めます(図2)。具体的には、救急搬送件数は年間1,000件以上(医療資源の少ない地域では800件以上)、全身麻酔手術件数は年間500件以上(同400件以上)などの実績が必要となります。さらにHCU用の重症度、医療・看護必要度のA項目に「抗不整脈剤(注射)の使用」と「一時的ペーシング」を追加するとともに、管理料1・2いずれにおいても重症患者割合(基準①)を従来の15%以上から20%以上へ引き上げます(基準②は管理料1が80%以上、管理料2が65%以上で変更ありません)。
図1:ハイケアユニット入院医療管理料用「重症度、医療・看護必要度」に係る評価票
図2:ハイケアユニット入院医療管理料概要
急性期病院一般入院基本料の新設、急性期一般入院基本料の施設基準等見直し
「急性期病院一般入院基本料」が新設されます。病院全体としての急性期機能、救急患者の受け入れや手術件数などに着目した新たな評価が導入され、これには今後実施される「病院機能報告」を意識していると推察されます。具体的には、急性期機能の実績に応じて、A・Bのいずれかの要件を満たす病院が対象となり、Aでは「救急搬送2,000件以上かつ全身麻酔手術1,200件以上」、Bでは次の4つのうちいずれかを満たすことが求められます。すなわち「救急搬送1,500件以上」、「救急搬送500件以上かつ全身麻酔手術500件以上」、「人口20万人未満の地域における最大の救急搬送病院で、かつ救急搬送1,000件以上」、「離島地域における最大の救急搬送病院」です。あわせて、チーム医療やタスクシェア・タスクシフティングを評価する「看護・多職種協働加算」が新設され、病院は自院の実績に応じて適切な区分を選択できる仕組みとなります。また、病院の負担や役割をより正確に評価するための指標として「重症患者割合指数」が用いられ、これは「重症患者割合」に「救急搬送応需係数(=病床あたり年間救急搬送件数×0.005)」を加えた値で算出され、救急搬送を多く受け入れている病院ほど指数が高く評価されるような設計となっています。入院料一覧、施設基準の概要については図3を参照してください。また一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」に係る評価票も参考までに掲載します(図4)。
図3:急性期病院一般入院基本料、急性期一般入院基本料概要
「重症度、医療・看護必要度」の評価方法について:
「Ⅰ」は研修を受けた看護師等によるマニュアル評価、「Ⅱ」は診療実績データ(レセプト電算処理システム用コード)を用いた評価であり、近年は「Ⅱ」による評価が義務化される方向性が強まっています。
図4:一般病棟用「重症度、医療・看護必要度」に係る評価票
「救急患者連携搬送料」の改定
救急患者連携搬送料は前回の改定で新設されており、今回の改定では入院前に搬送を行う場合の評価を引き上げるとともに、搬送先医療機関における評価が新たに設けられます。点数の改定は図5に示すとおりです。施設基準としては、特定機能病院、救命救急センターを有している保険医療機関および急性期総合体制加算の届出を行っている保険医療機関のいずれにも該当しない保険医療機関であることに加え、救急患者の転院体制について連携する他の保険医療機関等との間であらかじめ協議を行っていることが求められます。今回の改定では、三次救急医療機関等から連携する医療機関への医療従事者同乗による搬送を評価するとともに、搬送先医療機関における評価も新設され、「下り搬送」による医療機能の分化・役割分担の推進が一層強化されています。
図5:救急患者連携搬送料の改定
L008-3体温調節療法の改定
特掲診療料のL麻酔における体温調節療法で改定・新設があります(図6)。
L008-3は名称が経皮的体温調節療法から体温調節療法に変更されます。「ウォーターパッド特定加温装置を用いる場合」への適用が設定されました。対象患者は、「①重症熱中症(深部体温40℃以上かつGCS8点以下の状態にある熱中症)②偶発性低体温症(深部体温32℃以下の状態)」となっています。算定要件は、「ウォーターパッド特定加温装置コントロールユニット及びウォーターパッド加温装置を用いて体温調節を行った場合に、一連につき1回に限り算定」可能で、「使用するパッド等の消耗品の費用は所定点数に含まれる」とされています。施設基準としては、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料(総合周産期特定集中治療室管理料の新生児集中治療室管理料も含む)のいずれかの特定入院料の届出が必要です。
図6:L麻酔 体温調節療法改定・新設項目(一部抜粋)
まとめ
今回はハイケアユニット入院医療管理料と、新設される急性期病院一般入院基本料、急性期一般病棟入院基本料を取り上げ、具体的な改定点、項目についてまとめてみました。新たな地域医療構想で義務化される「病院機能報告」を意識した施設基準が導入されています。救急搬送受入れや手術の件数が重視される傾向にあります。
<参考URL>
厚生労働省website[令和8年度診療報酬改定説明資料等について]外部サイトが開きます
本文添付の図は上記資料を参考に作成しています。
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