第20回脳低温療法・体温管理学会 教育セミナー
「集中治療における脳機能モニタリングの最前線」
- 掲載:2017年07月
- 文責:クリティカル・ケア部
日時 : | 2017年7月8日(土)10:40~11:40 |
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会場 : | ホテルメルパルク熊本 3階 根子岳 |
演者 : | 永山 正雄先生 国際医療福祉大学医学部 神経内科学 教授 国際医療福祉大学熱海病院 副院長 |
座長 : | 黒田 泰弘先生 香川大学医学部 救急災害医学 教授 香川大学医学部附属病院 救命救急センター長 |
抄録 : | ※pdfが開きます(89KB) |
2017年7月7日~8日に開催されました第20回日本脳低温療法・体温管理学会(会長 熊本大学医学部附属病院 救急・総合診療部 教授 笠岡 俊志先生)において、教育セミナーを共催させて頂きましたので、ご報告申し上げます。
永山先生のご講演は、近年、注目される「神経集中治療」について、「何故、神経集中治療が求められるか?」というご説明からはじまりました。
- 神経系の疾患でない患者様でも20%程度の割合で神経系の合併症が発生する
- 蘇生の概念が、生命予後の向上を目指す【心肺蘇生】から、神経学的予後の向上を目指す【脳神経蘇生】に変化している
それらが背景にあることを前提に、「神経集中治療を実施するには、神経所見を診ることがとても重要であり、その神経所見を診るために有用なのが各種脳機能モニタリング機器であり、これらを活用することがとても大切である」と述べられました。
ESICM(ヨーロッパ集中治療学会)や米国NCS(ニューロクリティカルケアソサイエティ)など海外の著名な学会で作成されたモニタリングに関する [ガイドライン] や、海外の著名な施設のニューロICUにて、様々な神経モニタリング機器が、多数、活用されている様子を写真付きでご紹介された後
- 神経集中治療において [神経所見] を診ること
- 必要に応じて [脳機能モニタリング] を活用することの大切さ
を具体例を挙げて、お話されました。その中でも、 [神経所見] と [脳機能モニタリング] の活用が大切になるのは [非痙攣性てんかん重積(以下NCSE)] であると私自身が感じましたのでご紹介させて頂きます。
NCSEは、JRCガイドライン2015第6章【脳神経蘇生】でも「てんかん重積状態(痙攣性、非痙攣性)は、意識障害と並んで最も高頻度な神経症候の一つであり、脳神経救急、集中治療の最も重要な課題である」と明記されています。このNCSEは、けいれんなど、眼に見える明らかな症状が伴わないことが特徴ですが、NCSEは脳波に表れるため、持続的に脳波をモニタリングすること、その解釈に貢献するのがaEEGトレンドです。
持続脳波は米国NCSでも最低48時間は実施することが強く推奨されており、AHAでもClass1の強い推奨を受けている非常に大切なモニタリング機器であるものの、判読が難しく限られた人にしか活用できないという一面もあります。脳波の生波形を時間軸で圧縮してパターンで脳の状態を把握するaEEGトレンドを使用することは、NCSEのスクリーニングを実施する一助となります。
永山先生のご講演にもありましたが、近年は [Epi-ROD] と呼ばれる概念が提唱されており、てんかん重積状態が致死的あるいは高度機能障害を呈する各種臓器障害を引き起こす可能性があると言われています。これらを防ぐためにも [aEEGトレンド] や [持続脳波モニタリング] をベッドサイドで実施することが大切であると考えます。他にも、最新の脳機能モニタリング機器の1つとして、計測者や環境に左右されず、瞳孔所見を定量化できる [瞳孔記録計] や、脳神経疾患で頻出の呼吸障害である肺胞低換気を観察する為のCO2モニタリングに適した小型カプノメータなどをご紹介されました。
ご講演の最後に「各種脳神経モニタリング機器には、それぞれ長所短所があり、これらの特徴を上手く活かし患者様を診ることが大切である」と結ばれました。
ご講演後、聴講された先生方からも、活発な意見交換が相次ぎ、盛況に終了致しました。
アイ・エム・アイでは、体温管理システム【Arctic Sun】をはじめ、瞳孔径を定量的に測定できる瞳孔記録計【NPi-200】、脳の状態を迅速かつ簡便に把握することを可能にしたaEEGモニタ【NicoletOne】、脳酸素飽和度と脳循環・代謝モニタリングに有用な【NIRO-200NX】などの脳モニタリングデバイスを通して、神経集中治療のお役に立てることを願っています。
最後に素晴らしいご講演をされました永山先生、スムーズな司会進行をしてくださった黒田先生に心より感謝申し上げます。
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