特別企画

人工呼吸器 アラームの適正設定について

  • 掲載:2009年06月


前回、「人工呼吸回路 ウォータートラップの取り扱いについて」と題し、ウォータートラップの外れや、リークについてご案内させて戴きました。今回は、これら呼吸回路のリークや外れを検出するための、人工呼吸器本体のアラーム設定についてご案内いたします。

回路を外してもアラームが鳴らない!? 確認のポイントは?

お客様からのお問い合わせより・・・ 

呼吸回路組み立て後、テスト肺を使用して人工呼吸器の作動チェックを実施した。
警報機能テストの際、テスト肺を外したのにアラームが鳴動しなかった。何故、鳴動しないの?

様々なケースが考えられますが、テスト肺を外して回路を開放したにも関わらずアラームが鳴動しない場合には、次のような可能性があります。

  • テスト肺は外れていたが、外した回路の先端部分がベッドやシーツに触れていたため、換気作動に伴い「回路内圧」が上昇している。
  • 外した回路の先端部分は何処にも触れていないが、回路構成品のうち、人工鼻、カテーテルマウントやフレックスチューブ、回転コネクタ等が抵抗となり、換気作動に伴い「回路内圧」が上昇している。
  • アラーム設定値が設定範囲中、最低(最小)レベルに設定されている。

回路の外れ、リークを検出するアラームのしくみ

人工呼吸器は、換気作動中の異常を検出するよう各種の警報機能を有しており、代表的な警報機能として低圧アラーム、高圧アラーム、分時換気量下限(低分時換気量)アラーム等があります。

これらの警報機能は人工呼吸器本体に内蔵されている各種センサが、呼吸回路内の圧力変化(流量変化)を監視し、使用者が任意に設定したアラーム設定値(警報の作動条件)を満たすと、アラームが鳴動する仕組みとなっております。

人工呼吸器が、回路リークを直接的に検出することは可能でしょうか?回路が外れたり、リークした箇所を特定するなど直接的に、正確に検出することは人工呼吸器にはできません。代わりに、それらの異常によって生じる状況、例えば、回路外れに伴い発生する回路内の圧力低下や、呼気分時換気量の低下等を検出することで、アラームを鳴動させ、異常を使用者に知らせます。使用者は、鳴動したアラームから原因を分析、評価のうえ対応することになります。回路外れやリークを検出するためには人工呼吸器、呼吸回路等について取り扱い方法を熟知し、患者様毎に異なる使用状況を十分把握、勘案したうえで適切なアラーム設定値を検討し、且つアラーム鳴動時においては原因分析を行えるよう日頃から準備、訓練しておくことが必要です。  


アラーム設定のポイント!

安全にご使用いただくために、以下の点に注意してアラームの設定を行ってください。

  • アラーム設定値について、漫然と初期設定値で使用せず、患者様毎にアラーム設定値、作動の確認をする。
  • 回路外れや回路リーク等を検出できるような各アラーム適正設定と、鳴動確認の実施を徹底する。

設定の例・・・

  • 低圧アラームは、ピーク圧の-10~-20%
  • 分時換気量下限(低分時換気量)アラームは、 呼気分時換気量測定値の-10~-20%
  • 回路構成品ならびにPCV等の圧換気モード選択時やPEEP/CPAP設定、プレッシャーサポートの設定によっては、 回路外れが生じても回路内圧が上昇しやすい場合があるので、低圧アラームが鳴動する適切な設定を行うと共に、あわせて分時換気量下限(低分時換気量)アラームも適切に設定する。
  • 使用前・使用中・使用後点検の励行によるアラーム適正設定と鳴動確認の実施を徹底する。
  • 回路組み立て後は、患者接続部等を大気開放し、低圧アラームが鳴動することを確認する。
    (平成13年3月27日、医薬発第248号)

 

ナースセミナー

弊社では、呼吸回路の接続や確認のポイント、使用前・使用中・使用後点検の方法、人工呼吸器のアラームが鳴動した場合の対処方法などについて、ナースセミナーなどをとおして、スタッフ教育のお手伝いをさせていただいております。詳細につきましては最寄りの顧客サービスセンタ担当者にご相談ください。 

 

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