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elisa500の導入及び使用について
東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科(集中治療部門)部長 則末 泰博先生/臨床工学室 集中治療専門臨床工学技士 宇佐見 直さま

  • 掲載:2024年09月
  • 文責:カスタマーソリューション推進部
elisa500の導入及び使用について<br>東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科(集中治療部門)部長 則末 泰博先生/臨床工学室 集中治療専門臨床工学技士 宇佐見 直さま

東京ベイ・浦安市川医療センター 
救急集中治療科(集中治療部門)部長
則末(のりすえ 泰博やすひろ) 先生

臨床工学室 集中治療専門臨床工学技士
宇佐見(うさみ すなお) さま

[ 東京ベイ・浦安市川医療センター 施設概要 ]

所在地: 千葉県浦安市当代島3-4-32

病床数: 一般病床340 床、感染症病床4 床、計344 床

[ 東京ベイ・浦安市川医療センター webサイト ] https://tokyobay-mc.jp/

今回は、人工呼吸器elisa500のユーザー様である東京ベイ・浦安市川医療センター救急集中治療科(集中治療部)の則末先生と臨床工学技士の宇佐見さまにお話を伺いました。

東京ベイ・浦安市川医療センターの地域における役割について御紹介ください。

則末先生
▲則末先生

[ 則末先生 ] 東京ベイは、地域の住民の皆さんの健康を守ることを大前提に、「世界標準の治療をする」というコンセプトを掲げています。
常に世界的な国際ガイドラインなどに準拠した治療を行っておりますので、 当院の医師は常に勉強し続けています。
例えば、循環器内科や心臓血管外科は最先端の治療を行っており、はるばる遠方から手術や治療を受けに来る方もいらっしゃいますので、「地域における役割」「世界標準の治療」「医療従事者の教育」を担うという 3つの役割があると思っています。

則末先生の現在のお立場について御紹介ください。

[ 則末先生 ] 救急集中治療科の集中治療部門の部長です。
当院の救急集中治療科は[救急外来部門]と[集中治療部門]の2つに分かれおり、[救急外来部門]は救急外来に対応します。そして[集中治療部門]は、ICUに入ることが決定した患者さんへの診療を行っており、それぞれ活躍するフィールドが異なります。
また、当院の集中治療部門は、ラピッドレスポンスシステム(RRS)も担っておりますので、入院患者さんの異変/急変時に、常に駆けつけるという役割も持っています。
当科はクローズドICUなので、全ての診療科の患者さんに対応しています。
内科の重症患者さんをはじめとして、循環器内科、心臓血管外科、脳神経外科、産婦人科を含め、小児科以外の患者さん全ての診療を行っており、対処する疾患がとても多様です。あと、集中治療科が各診療科の患者さんを診ているので、循環器内科や心臓血管外科、脳外科などが当直をしていないところが多分特殊なところかなと思います。

集中治療室の様子
集中治療室の様子
集中治療室内:カンファレンスの様子
集中治療室内:カンファレンスの様子

宇佐見さまは集中治療専門臨床工学技士でいらっしゃいますが、ICUでは主にどのような業務を担当されていますか。

宇佐見さま
▲宇佐見さま

[ 宇佐見さま ] 集中治療室で使用されている設備を含めたME機器全般の対応です。
ICUでは人工呼吸器をはじめ、補助循環装置、血液浄化装置、各種モニタリング機器や体温環管理装置等、様々なME機器が使用されておりますので、それらの管理や操作、安全な使用の確認、トラブル対応、教育などを担っております。

elisa500を知ったきっかけをお教えください。
また、デモンストレーションでelisa500をご覧いただいた時の第一印象はいかがでしたか。

elisa500

[ 宇佐見さま ] IMIさんからの紹介です。
第一印象は、“小さい”ということですね。コンパクトなボディの中に機能が盛りだくさんという印象です。おそらく他のメーカーにはないぐらい多機能でインターフェイスが豊富だなという印象です。

[ 則末先生 ] 紹介いただいたのは、AVEAの販売が終了したタイミングだったと思います。
第一印象は、インターフェイスがすごくユーザーフレンドリーだなという風に思いました。イメージとしては知らなければ行きつけないという部分が少なく、iPhoneのように指でスクロールしながら直感的に操作すればその通りに動いてくれるので、その点はユーザーフレンドリーだなと思いました。

elisa500を導入する決め手は何でしたか。また実際に機器を使用していかがでしたか。

[ 則末先生 ] インターフェイスの良さと機能の多さです。当院では 人工呼吸管理をとても重要視していて、かつ人工呼吸管理についての教育もすごく盛んに行っておりますので、いろんな機能が使えるに越したことはないと。あとはPAVモードの機能ですね。そこが自分にとっては大きいですね。

[ 宇佐見さま ] PAVモードの機能が大きいです。当院では自発呼吸に対する非同調をとても重視しており、患者の呼吸状態をしっかりと観察して管理することに重きをおいております。なので、PAVモードであるPAPSを搭載していること、認可が下りれば将来的に食道内圧の測定が可能になるという期待感も大きなポイントです。食道内圧が測定できる呼吸器は機種が限られており、フロー波形と同時に食道内圧がモニタリングできるという機能はすごく重要ですので。
あとは自動カフ圧計機能を搭載している等、多機能なところですね。
実際、多機能かつ高機能という部分はとても重視するポイントですが、現実的には価格も大変重要です。高性能で高価な機械はなかなか買えませんが、elisaは機能と価格のバランスがとても良いと思いました。

[ 則末先生 ] NIVとハイフロー機能が初めから入っているところもすごくいいなと思います。

導入はスムーズにいきましたか。何か御苦労された点はありますか。

[ 宇佐見さま ] 当院では人工呼吸器のデータを重症病棟支援システムに取り込むことが必須事項となっているため、当院でelisaを新規採用するにあたり、システム構築に時間がかかったのが苦労した点です。
今ではシステムへのデータ取り込みが可能となり、問題は解消されました。
実際、器械の使い勝手は使い始めてから慣れるまでが早かったという印象です。
他の機種と違い、レクチャーしなくても、器械を触りながら直感的に感覚をつかみやすい機種だなという印象で、そういった部分ではあまり苦労しておりません。

[ 則末先生 ] 初めての機種は特にナースが不安になるものですが、elisaは直感的に使いやすいからかも知れませんが、実際の運用が始まっても苦情のようなものもなく、問題なく使用できている印象です。

導入後、患者様・病院様にとってのメリットなど何か以前と変わったことはありますか。

[ 宇佐見さま ] 圧縮空気の配管が要らなくなり、elisaを装着したまま酸素ボンベを用意するだけで移動が可能になった点です。重症呼吸不全の患者さんにおいて、人工呼吸器を一時的にでも外すことなく移動が可能になりました。

[ 則末先生 ] 本体が小さいので、その分ベットサイドが広く感じられます。
CV等の手技や準備が行いやすくなったと思います。

ICUでは、現在/年間何名の患者様が入院されていますか。
そのうちどのような症例の患者様にどのような用途・目的でelisa500を使用されていますか。

重症呼吸不全の患者さん

[ 則末先生 ] 1000名位ですね。
最初は慣れるために術後のリスクの少ない患者さんに使っていたのですが、最近は重症呼吸不全の患者さんにも積極的に使うようにしています。

ICUの重症患者様に使用する上で、elisa500の基本性能に問題はございませんか?

[ 則末先生 ] 人工呼吸器としての基本性能は最初正直不安だったのですよ。これだけ多機能でタービン式でもあるし、呼気弁等の性能は大丈夫かなと。
ただ実際使ってみると同調性も全然悪くないですし、全く問題ないというのが現在の印象です。

[ 宇佐見さま ] 呼気弁の性能についてさらに検証していきたいですが、今のところ全く問題ありません。

自動カフ圧調節機能(カフスカウト)はご活用いただいていますか?

[ 宇佐見さま ] 呼吸器に繋がるチューブが1本増えるので注意が必要ですが、呼吸器と一体になっていることで気道内圧とカフ圧を常にモニタリングできるのは便利だと思います。

プラトー圧の上昇に伴いカフ圧が自動的に変動
プラトー圧の上昇に伴いカフ圧が自動的に変動
カフスカウトの設定画面
カフスカウトの設定画面

ICUで使用される人工呼吸器は医療ガス配管の圧縮ガスにより駆動するものが一般的ですが、タービン駆動のelisa500をICUで使用するメリットはありますか?

[ 宇佐見さま ] 重症呼吸不全の呼吸管理を中断することなく移動が可能になったことです。また災害対策の観点からAir配管が不要という点は非常にありがたいですね。

elisa500の肺メカニクスなどの測定パラメーターはICUでのご使用にあたり十分な項目を備えていますか?特に良くご使用されるパラメーターはございますか?もしございましたら対象症例や活用方法について教えてください。

[ 則末先生 ] 基本的には必要十分なパラメーターが表示されます。またP0.1も予測値ではなく実際に閉塞して測定された実測値を表示してくれます。
希望を言えば、現在の設定値も常時表示してほしいと思います。
現在の設定がどうなっているか、また設定に対して実測がどう変化するかを確認できるよう、是非とも改善していただきたいと思います。

P0.1の設定および測定履歴画面
P0.1の設定および測定履歴画面

[ 宇佐見さま ] コンプライアンスやレジスタンスの測定値と過去の記録が並列に表示されると便利だと思います。トレンドで見ることは可能ですが、P0.1のように少ないタッチ数で現在と過去の値が表示されればすごく使い易くなります。

[ 則末先生 ] PSVで吸気ポーズをかけられる点も良いですね。自発呼吸時に吸気ポーズをかけると、吸気努力が強ければプラトー圧はPEEP+PS圧よりかなり高くなることがあります。吸っていたものが陽転化するんですね。この差でどれ位吸気努力があるかを示し(PMI: Pmus Index)、ドライビングプレッシャーも分かるので、自発呼吸のときに吸気ポーズが出来るのは重要な機能です。
elisaではPSV時に吸気ポーズをかけることで、これらを把握することが可能です。

PSVで吸気ポーズをかけた際に出現するプラトー圧の上昇(Pmus Index)
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PSVで吸気ポーズをかけた際に出現するプラトー圧の上昇(Pmus Index)

elisa500にはウィーニングに便利なSBT機能がありますが、実際に臨床でご活用いただいていますか?
SBT:spontaneous breathing trial(自発呼吸トライアル)

[ 則末先生 ] 当院では常に多くの医師がICUに待機しているので、自分たちでSBTを実施してしまいますが、術後にあまり医師がいないような施設ではすごく助かると思います。

[ 宇佐見さま ] 当院では先生方が確認しながら実施しているので必要ありませんが、先生方がICUに常駐できない施設では良い機能かと思います。また実施履歴がトレンドに残るのは診療報酬の請求や他職種のスタッフ間での情報共有という点でも有用だと思います。
P0.1とチューブ補正をONにしなければSBTに入れませんが、これらのON/OFFが選択できるとより良いと思います。病院のプロトコルに沿った形で必須項目が選択できると、どの病院においてもさらに使い易くなると思います。

SBT進行中画面
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SBT進行中画面
Fast wean画面
Fast wean画面

elisa500のPAPS(PAV)モードはどのように使われていますか?

[ 則末先生 ] 自発呼吸のある患者さんによく使用しています。PBのPAV+と比べても使用感に遜色はありません。
コンプライアンスと気道抵抗を別々に設定できる点がPAPSの特徴だと思いますが、個人的に別々の設定は不要だと思います。PAVは小難しいと思われて敬遠されているんですよね。単純に「患者さんの呼吸努力の何%を器械がサポートしてくれるんですよ」で良いと思うんです。プレッシャーに変換されればそれぞれの圧(エラスタンスと気道抵抗)は結局合算されるので、コンプライアンスと気道抵抗を分けることにあまり臨床的な意味を感じません。

PAPSモード設定画面
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PAPSモード設定画面

[ 宇佐見さま ] コンプライアンスと気道抵抗を別々に分けるとしたら、何をもってそれぞれの設定の指標とするかという提案をしなければ、実際に使用するのが難しいと思います。

[ 則末先生 ] 因みにコンプライアンスを測定するために、10呼吸に1回程度マイクロポーズをかけていると思いますが、測定はあまり頻回でなくて良いと思います。コンプライアンスは10呼吸程度では大きく変化しないので、もう少し長い目で見て良いと思います。マイクロポーズは一瞬であっても明らかに非同調ですので、正確なコンプライアンスが測定できるまでは数回連続してマイクロポーズが行われるのは仕方が無いとしても、それ以降は1/100回位でも良いのではないかと思います。
またelisaの場合、レジスタンスは呼気で測定していると思いますが、理論的には吸気で測定することも可能ですので、このあたりが改善してくれるとさらに良いですね。

elisa500のNPPV・HFOTモードは専用器とどのように使い分けをされていますか?
またelisaのNPPV・HFOTで優れている点はございますか?

インターフェイス

[ 宇佐見さま ] 専用器(V60やブレンダ、AIRVOなど)との使い分けはしていなくて、抜管後の患者さんに使用しています。器械を入れ替えることなく回路もそのまま使用できるので、手間もかからず、便利な上、コスト削減に繋がり重宝しています。
NIVの機能でいえば、専用器とコンベンショナルな呼吸器のNIVモードと比べると、より専用器に近づいたという印象です。とても使い易くなりました。
他のコンベンショナルな呼吸器のNIVモードはアラームが頻発し同調性が悪く、患者さんが受け入れてくれない時も多いのですが、elisaは患者さんに受け入れられています。細かく解析していけばいろいろなことが分かってくると思います。リークが多くても少なくても同調性が高いと感じます。

[ 則末先生 ] NIV中に気道閉塞圧(P0.1)や最大吸気圧(MIP)もしっかり測定できますしね。
吸気努力の強さを評価する上で、一般的にP0.1・ΔPocc注1・食道内圧変化(Δpes)などが評価の指標となりますが、elisaはNIV時でもP0.1・呼気ポーズによるMIPの測定が可能で、かなり良い相関が得られております。これらは離脱失敗の指標だけでなく、挿管が必要かの判断にとても有用です。NIVで粘ってクラッシュしてしまう患者さんがいますが、一定以上吸気努力が強くなったら挿管の判断が必要です。
吸気努力の強さは何をもって評価するかは挿管していなければ難しいのですが、elisaはNIV下でもP0.1とMIP測定によるΔPoccがしっかり測定できるので、これらの判断が可能です。
注1 ΔPocc…呼気ポーズ時の自発呼吸による気道内圧変化)
当院は研究で様々なデータを取ることが多いので、多機能なelisaはとても重宝しています。いろいろなことができますので。これで横隔膜活動電位も測定できたらさらにすばらしいのですが。

呼気ホールドによる最大吸気圧(MIP)測定結果
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呼気ホールドによる最大吸気圧(MIP)測定結果
最大吸気圧(MIP)

elisa500はモードや機能の表示選択が可能ですが、これらカスタマイズ性のメリットはありますか?

[ 宇佐見さま ] あります。そのモードに特化した画面構成があった方が判断しやすいですし見やすいです。3波形表示が基本ではありますが、特殊機能を使う場合、それに見合ったパラメーターに特化させた方が使いやすくなります。各病院における観察項目に沿った表示にできることもユーザーにとってありがたいです。

[ 則末先生 ] カスタマイズできるのはありがたいですね。よく使う機能がすぐに表示されて、すごくいいと思います。

呼吸仕事量の比率(WOB)
呼吸仕事量の比率(WOB)
PAPSモードに特化したカスタマイズ画面
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PAPSモードに特化したカスタマイズ画面

機器の管理/点検業務において、ご不便な点はございませんか?

[ 宇佐見さま ] 今のところ問題は無いですね。呼気弁もフローセンサーも滅菌対応できていますし。脱着に慣れれば問題ありません。elisaはパラマグネット式の酸素センサーが採用されており、酸素電池式のように頻繁な校正が不要なため、点検時間も短縮されています。またセンサーの定期交換が不要なため、使用中のアラームやエラー表示が減り、ランニングコストが大幅に削減される点も助かっています。

他の施設でelisa500導入を御検討されている先生方にアドバイスなどがあればお願いします

[ 宇佐見さま ] サイズ感が小さいのでどの施設でもメリットがあると思います。コンパクトさを嫌がる人たちはあまりいないと思います。

[ 則末先生 ] 呼吸器としての基本性能も高いですし、インターフェイスも優れているので、使ってみたら良さが分かると思います。

アイ・エム・アイ株式会社 IMI.Co.,Ltd

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