第56回小児呼吸器学会学術集会 モーニングセミナー「一般小児科外来でのBCV」ご報告
- 掲載:2024年11月
- 文責:慢性期・在宅ケアエリアチーム
2024年9月20日(金)~21日(土)に第56回小児呼吸器学会学術集会が開催され、会期最終日の9月21日(土)に、モーニングセミナー「一般小児科外来でのBCV」を共催いたしました。
本セミナーでは、陰圧人工呼吸器の作動原理、臨床上の期待できる効果から実際の小児領域における導入例などにつきまして、ご講演いただきましたのでご報告申し上げます。
日時 : | 2024年9月21日(土) |
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会場 : | 第2会場 浦安ブライトンホテル 東京ベイ |
演題 : |
一般小児科外来でのBCV |
演者 : |
岡田 邦之 先生 |
座長 : |
港 敏則 先生 |
共催 : |
第56回日本小児呼吸器学会 |
学会公式 サイト : |
まず陰圧式人工呼吸器の歴史として、「鉄の肺」、UH社のRTXを紹介。作動原理と算定可能な保険点数について説明がありました。
そして、BCVの代表的な利点、欠点を次のようにお話されました。
BCVの利点
- 装着・離脱が簡単
- 人間の生理的な呼吸に近い
- 胸郭を広げることで横隔膜を引き下げ、下肺野へのエアーエントリーが増加
- 装着手順が簡単
- 換気量の増加、酸素化の改善
- 静脈還流量の増加
- barotraumaなどの合併症リスクが低い
- マスク装着が不要なので、食事や吸入が可能
- 肺全体に均一に圧がかかるため無気肺にも有用
BCVの欠点
- 長期間装着すると皮膚損傷が生じる可能性
- キュイラスの装着部にリークがあると作動音が大きくなる
続いて、自院での症例、導入報告をいただきました。
症例報告およびアンケート結果
約3.5年間で約500症例にBCVを導入しており、それらの中から代表的な症例報告をされ、喘息発作にも有効で、薬物療法を併用することで効果は最大化されることを紹介されました。
これらの使用を基に、使用者側、被検者側のアンケートを実施し、それらの結果報告をいただきました。
TCV-100Kのリリースを紹介
2024年に発売になりました新しい陰圧人工呼吸器TCV-100Kの使用感についてもご紹介いただきました。
岡田先生のクリニック内での評価を紹介いただきました。日本製なのでRTXで多発したトラブルの減少が期待できる、モニタは見やすくタッチパネルになり、静音性が向上したと紹介いただきました。
最後に本日の発表の総括とBCVへの思いをお話いただきました。
BCVにおける期待できる陰圧効果
- 胸腔内圧が陰圧になることで換気量増大
- PEEPの上昇により気道抵抗が減少
- 循環動態の改善
- 呼吸筋疲労の改善
外来でのBCV診療は安全であり、通常の治療よりも短時間で症状が改善され、入院を回避できる可能性が高いです。BCV治療の普及により、呼吸困難が速やかに改善され、笑顔で家族と過ごす子供たちが増えることを期待しています。
座長の港先生、演者の岡田先生、ありがとうございました。
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