セミナー情報

日本医工学治療学会第42回学術大会 教育セミナー3
「脳組織酸素飽和度(SctO2)を中核とした多角的モニタリングによる個別型CPR戦略と蘇生医療のパラダイムシフト」ご報告

  • 掲載:2026年07月
  • 文責:カスタマーソリューション推進部
日本医工学治療学会第42回学術大会 教育セミナー3<br>「脳組織酸素飽和度(SctO<sub>2</sub>)を中核とした多角的モニタリングによる個別型CPR戦略と蘇生医療のパラダイムシフト」ご報告

日本医工学治療医学会第42回学術大会(2026年6月12日~14日)にて、会期3日目に「教育セミナー」を共催いたしました。
本セミナーでは、座長に竹内一郎先生(横浜市立大学)、演者に鹿野恒先生(日本医科大学付属病院)をお招きし、個々の患者に応じた個別化CPRの実現についてご講演いただきましたのでご報告申し上げます。

ランチョンセミナー3
日時 : 2026年6月14日(日)
11:10~12:10
会場 : 第2会場 浜松町コンベンションホール6F 大会議室A
演題 : 脳組織酸素飽和度(SctO2)を中核とした多角的モニタリングによる個別型CPR戦略と蘇生医療のパラダイムシフト
座長 : 竹内 一郎先生
横浜市立大学医学部 救急医学 主任教授
演者 : 鹿野 恒先生
日本医科大学付属病院 高度救命救急センター 病院講師
学会HP : https://www.credoinc.jp/jste42/index.html
抄録 : ※pdfが開きます(87KB)
座長:竹内 一郎先生
座長:竹内 一郎先生
演者:鹿野 恒先生
演者:鹿野 恒先生

講演概要

心停止患者に対する蘇生医療は、これまで主に心電図を中心とした評価に基づいて行われてきましたが、現在、院外心停止患者で社会復帰できるのは15人に1人程度です。

標準化されたガイドラインでは患者ごとの状態を十分に把握できず、最適な治療が行えているとは限らないという課題があります。

講演では、近赤外分光法(NIRS)による脳組織酸素飽和度(SctO2)モニタリングを活用することで、蘇生中の患者の状態をリアルタイムに把握できる点が紹介されました。

特に以下の点が重要なポイントとして示されました。

  1. SctO2は心拍再開(ROSC)の予測に有用
  2. SctO2 45%が蘇生における一つの重要な指標として活用できる
  3. 電気ショックの成功タイミングの判断にも寄与
  4. 胸骨圧迫の質を可視化できる

「脳蘇生」という新しい視点

従来の蘇生医療では「心拍再開」が主な目標とされてきましたが、本講演では「脳をいかに守るか」が最も重要であることが強調されました。

院外心停止患者の社会復帰率は依然として低く、心拍が再開しても脳機能が回復しないケースが多く存在します。

そのため、以下の重要性が提示されました。

  1. 心臓だけでなく脳の状態を評価すること
  2. 虚血に弱い大脳皮質を守る「脳蘇生」を目指すこと

個別最適化された蘇生医療へ

講演では、患者ごとの体格・循環状態・CPRに対する反応性の違いを踏まえた「個別最適化された蘇生医療」の必要性が提案されました。

さらに、以下のような “従来の常識にとらわれない新しい臨床視点” を示されました。

  1. CPRによって生み出される「蘇生循環」の質には顕著な個体差が存在する
  2. 生体循環と蘇生循環は大きく異なり、静脈圧が動脈圧より高くなるケースも1/4程度存在する
  3. 薬剤が「効かない」のではなく「届いていない」可能性
  4. 適切なタイミングでのECPR(体外式心肺蘇生法)の導入

今後の展望

本講演を通じて、蘇生医療は「画一的な手技」から「生理学的に最適化されるべき治療」へと進化していく必要があることが明確に示されました。

また、現場でのモニタリング技術の進歩により、これまで見えなかった情報を基にした判断が可能となり、蘇生率のさらなる向上が期待されます。

セミナーの様子

まとめ 先生からの提案

  1. SctO2をモニタリングする
  2. SctO2 45%未満なら循環改善を優先
  3. SctO2 45%以上では心電図評価・除細動
  4. 必要に応じて早期ECPR導入

蘇生医療は「画一的な手技」から「個別最適化された治療」へ進化するべきだと考えています。我々は過去の常識に縛られていないでしょうか。

ガイドラインは重要ですが、それだけでは未来は変わりません。

新しい発想と挑戦が必要です。

アイ・エム・アイ株式会社 IMI.Co.,Ltd

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