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ブランケットロールIII用ウォーターブランケット プラスティパッドプラスを用いた体温管理の有用性
金沢医科大学病院 医療技術部 医療機器管理部門 主任 臨床工学技士 要田宏樹さま

  • 掲載:2019年10月
  • 文責:クリティカル・ケア部
ブランケットロールIII用ウォーターブランケット プラスティパッドプラスを用いた体温管理の有用性<br>金沢医科大学病院 医療技術部 医療機器管理部門 主任 臨床工学技士 要田宏樹さま
要田 宏樹(かなめだ ひろき)さま ご略歴
[ 経 歴 ]
1997年: 国立広島商船高等専門学校 電子制御工学科 卒業
2000年: 広島医療福祉専門学校 臨床工学科 卒業
2012年: 金沢大学大学院 医学系研究科医科学専攻修士課程 卒業
現在: 金沢医科大学病院 医療技術部 医療機器管理部門

[ 金沢医科大学病院 webサイト ] https://www.kanazawa-med.ac.jp/~hospital/

金沢医大外観
▲金沢医科大学病院外観

要田さま
▲要田宏樹さま

1. 金沢医科大学病院、医療技術部医療機器管理部門についてご紹介ください

医療機器管理部門の皆さま
▲医療機器管理部門の皆さま
(前列左から2番目が要田さま)

金沢医科大学病院は、金沢駅から北へ約10kmの場所に位置し、835床を有する特定機能病院です。

医療技術部医療機器管理部門には、15名の臨床工学技士が所属し、15室の手術室、8床のハートセンター、10床の集中治療センターをはじめ、カテーテル室、血液浄化センター、各病棟で使用される医療機器の操作、管理に携わり、各中央診療部門での安全で質の高いチーム医療の推進に取り組んでいます。

2. 要田さまは臨床工学技士でいらっしゃいますが、主にどのような業務を担当されているのでしょうか?

主な担当部署は中央手術室で、医療機器管理をはじめ人工心肺装置の操作や術中ナビゲーション操作、周術期植込みデバイス管理などを行っています。

日本臨床工学技士会では、呼吸治療専門臨床工学技士、血液浄化専門臨床工学技士、不整脈治療専門臨床工学技士などに続き、2016年より[手術関連専門臨床工学技士]の認定制度もはじまりました。
また、日本麻酔科学会が定めた[周術期管理チーム認定制度]でも2017年より臨床工学技士が認定対象に加わりました。(※クリックすると外部サイトが開きます)

このように、手術室において、臨床工学技士が[周術期管理]におけるチームの一員として、より幅広く活躍していくことがますます期待されています。

3. ブランケットロールIII用ウォーターブランケット[プラスティパッドプラス]を導入されるきっかけは何でしたか?

プラスティパッドプラス
▲プラスティパッドプラス

小児心臓血管外科手術は、術中低体温に陥る可能性が非常に高い手術のひとつです。室温の影響だけではなく、シリンジポンプによる輸液投与が中心となるため輸液の加温が難しく、また体外循環後の再分布性低体温(アフタードロップ)などによる術中低体温が起こりやすいからです。
それらを予防する目的として[プラスティパッドプラス]を導入しました。

4. 体温管理には、水流式や温風式をはじめとする複数の方式、それぞれに多様なブランケットがありますが、その中でも[プラスティパッドプラス]を選ばれた理由、使用方法、症例などをお教えください。

はじめに

周術期における体温管理の重要性は諸家の報告により多くの施設において認知され、低体温予防に対してさまざまな対応が行われています。体温の調節は①自律性体温調節、②行動性体温調節、③体性体温調節によって行われていますが、全身麻酔中は各薬剤の影響により体温調節機能が変化することや、手術室での熱放散の影響、①伝導、②放射、③対流、④蒸散で低体温に陥りやすくなります。

当院では心臓血管外科手術時において低体温の要因とされる伝導(手術台などの接触によるもの)を防止する目的としてプラスティパッドプラスを用い体温管理を行っています。

熱放散 (IMI体温管理テキストブックより)

▲熱放散 (IMI体温管理テキストブックより)

使用方法

心臓血管外科以外の手術時は、手術台の上に褥瘡予防のためソフトナース、汚染予防として防水シートと吸水マットを置き温風式加温装置で加温しています。

心臓血管外科手術の場合、小児の姑息術では体外循環を用いないことや輸液にはシリンジポンプを多用するため輸液の加温が難しく、また成人の心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)でも輸液量が多く、輸液の加温だけでは体温維持が非常に困難になります。このような症例においてプラスティパッドプラスを用いることにより、非常に良好な体温維持を経験しています。

開心術においては体外循環を行う際の迅速な低体温への移行と、復温や体外循環終了後のアフタードロップ防止のために活用しています。

実際には他の手術準備に追加する形で、ソフトナースの上にプラスティパッドプラスを敷き、その上に防水シートと吸水マットを置いて使用しています。

セッティング (ソフトナースとプラスティパッドプラス)
▲セッティング
(ソフトナースとプラスティパッドプラス)

セッティング (手術台とブランケットロールIII)
▲セッティング
(手術台とブランケットロールIII)

このプラスティパッドプラスはジェル状のマットになっており、ソフトナースと併用することにより長時間使用していても褥瘡が発生しにくく、さらにジェル状であるため接触面積が増加していることで体温維持が容易になったと考えています。

設定温度については使用当初38℃に設定していましたが、人工心肺開始前に体温が上昇しすぎてしまうため、現在は初期設定の37℃に設定して良好な体温管理を維持しています。

小児症例

生後数ヶ月の患児、VSD(心室中隔欠損症)による肺血流増加に伴う肺高血圧症のため肺動脈絞扼術を施行。

術中の体温変化をグラフに示します。

術中体温変化)

室温は23℃設定、輸液は全てシリンジポンプを使用していたため加温できていませんでしたが、このように体温は術中に低下することなく、逆に上昇していました。この症例に限らず加温が難しい小児領域において、容易に体温管理が行える症例を数多く経験しており、プラスティパッドプラスのジェルによる加温効果を実感しています。

成人症例

心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)では体外循環を用いないため、術中の体温低下が問題となります。そこで、プラスティパッドプラス導入前後で体温維持にどの程度変化があったかを検討しました。

患者背景は、プラスティパッドプラス導入前の2016年度の待機OPCAB症例(control群)と、導入後の2018年度の待機OPCAB症例(プラスティパッドプラス群)です。プラスティパッドプラスと接続する体温管理装置にはブランケットロールⅢを使用しています。麻酔導入後、1時間、2時間、3時間、退室時の直腸温について比較検討しました。身長、体重、年齢、体表面積、手術時間には有意な差はありません。

患者背景
  年齢 体重 身長 体表面積 男女比 手術時間
control群(6例) 72.0±12.2 60.1±14.7 162.8±9.1 1.64±0.23 4:2 246.0±51.7
プラスティパッドプラス群(8例) 68.3±5.8 57.6±11.0 160.1±4.7 1.59±0.13 8:0 289.5±73.7

OPCAB体温変化

control群では、麻酔導入後の体温は高値にもかかわらず、時間経過と共に徐々に体温は低下しています。プラスティパッドプラス群の体温は徐々に上昇し、退室時の体温はcontrol群と比して有意に高値となりました。輸液量についての詳細な検討はしていませんが、プラスティパッドプラス群の手術時間が長いため輸液量も多かったと思われます。それでもプラスティパッドプラス群の体温は上昇しており、加温効果が実証できたと考えています。

5. [プラスティパッドプラス]の管理はどのようになさっておられますか?

管理は手術室の看護師に行ってもらっています。

使用時には防水シートと吸水パッドを置いて使用しており、使用後は清拭して折りたたんで保管しています。通常のブランケットと比べると重たいので使用する手術室の近くに置いて管理していますが、準備はカートに載せて移動させるなどの工夫をしてくれています。購入後2年経過しましたが、ジェルの経年変化による不具合などは特にありません。

6. 最後に[プラスティパッドプラス]の導入を検討されている施設の方へアドバイス、メッセージがございましたらお願いします。

体温管理はさまざまな要素が関連しており、一つの対策だけで対応できるものではありません。しかし、効果的な方法で、比較的容易に管理できれば、多くの施設にとって取り組みやすく、プラスティパッドプラスの使用は有益な体温管理方法になるのではないかと考えています。

貴重なお話を伺うことができました。本日はお忙しい中ありがとうございました。

要田さま と IMI金沢CS森井
▲要田さま と IMI金沢CS森井

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