日本臨床麻酔学会 第42回大会 イブニングセミナー2「急速輸液装置SL One®開発の経緯と活用法 ~これまでの急速輸液の問題点と今後」ご報告
- 掲載:2023年01月
- 文責:マーケティング部 急性期ケアエリアチーム
日本臨床麻酔学会 第42回大会[2022年11月11日-12日、会長:佐和 貞治先生(京都府立医科大学 麻酔科学)]が開催されました。弊社では、“急速輸液装置SL One®開発の経緯と活用法 ~これまでの急速輸液の問題点と今後”と題したイブニングセミナー2を共催いたしました。
開催日時 : | 2022年 11月11日 (金) 15:30~16:30 |
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会場 : | 第3会場 国立京都国際会館2F Room B-2 |
演題 : |
急速輸液装置SL One® 開発の経緯と活用法~これまでの急速輸液の問題点と今後 |
演者 : |
武富 太郎 先生 |
座長 : |
稲田 英一 先生 |
共催 : |
日本臨床麻酔学会 第42回大会 株式会社メテク アイ・エム・アイ株式会社 |
学会公式 サイト : |
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抄録 : |
武富先生により、急速輸液装置SL One®開発の経緯と活用法 、急速輸液の問題点と今後についてご講演いただきましたので、ご報告申し上げます。
輸血療法に関して対応が変わった要点は以下になります
- 赤血球製剤(RBC)に加え、新鮮凍結血漿(FFP)や血小板濃厚液(PC)を早期から投与する。これらの製剤をまとめて払い出す大量輸血プロトコール(MTPs)の活用
- RBC:FFP:PC=1:1:1とする
- フィブリノゲン値の目標値を100mg/dLから150mg/dLとする
- フィブリノゲン製剤の適応拡大
また、大量出血時のトラネキサム酸の投与推奨、近年のポイントオブケア型血液粘弾性試験装置、フィブリノゲン濃度測定装置の発展により、凝固異常の判定が容易になった一方で、急速輸液・輸血装置の開発が遅れていたことをご指摘され、講演本編へとお繋ぎいただきました。
開発の経緯は、一人で麻酔をかけるようになった頃に、不慮の大量出血例で患者様を亡くされた原体験から、危機的出血時の対応の問題点について考え始めたとのことでした。武富先生は、米国にて、心臓血管手術や肝臓移植といった大量出血症例の麻酔でご研鑽を積まれました。帰国後に勤務された病院の上司であった先生から、日本は治療系医療機器では貿易赤字であり、日本製で良い医療機器の開発ができないかとご相談されたことから、経産省「課題解決型医療機器開発助成事業」をご活用されました。
開発当時は「大量出血時や危機的出血時にVolume管理を手中にできる安全な急速輸液装置を作ろう!」というコンセプトでした。多くの患者様が亡くなっている背景や、モノづくりの世界は幾多の困難があるだろうということを念頭に、「Save Life Project」と名前を付け、SLのように力強く乗り越えて機器の完成に至れるようにと願いを込め、10年かけて医工連携でこの装置を開発されたとのことでした。
急速輸液装置に求められる機能から開発されたSL One®の特徴としては以下の項目が挙げられます
- 十分な送血スピードと広い調節レンジ(0.2mL/min~500mL/min)
急速輸液はもちろんメインとしての低速輸液も可能 - 急速輸液に追従する十分な加温能力
- 空気混入リスクはほぼゼロへ
- 送血ラインは2ルートになっている
- 操作ミスによる輸液過多を防止する[急速ハンドル]と[ボーラスボタン]
- 送血中の稼働を妨げない[自動圧制御機構]と[自動空気排除機構]
リザーバのメリットについて
リザーバのメリットとして、以下の点を取り上げておられました。
- MAP、FFP、アルブミン製剤などをリザーバで混合し、MAPの粘性を低下させることで急速投与がしやすくなる
- 危機的出血時にMTP(Massive Transfusion Protocol)を実践しやすい
- ある程度リザーバに貯めておくことで、いざという時の心理的な負担を改善できる
また、終盤にはSL One®を実際に臨床でご使用いただいている武富先生から、SL One®使用時のコツについてもご説明いただきました。
他にもご講演には、危機的出血対応時の注意点、特にボリューム管理で陥りやすいピットフォールなど、有益な内容が多く含まれておりました。
ご多忙な中、素晴らしいご講演をしていただきました武富先生、座長をお務めいただき、スムーズにご進行いただきました稲田先生に、心より感謝申し上げます。
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