NECCシンポジウム「神経集中治療における定量的瞳孔記録計の活用」ご報告
- 掲載:2023年11月
- 文責:急性期ケアエリアチーム

2023年10月9日(月)、ステーションカンファレンス東京にて、『Neurosurgical Emergency/Critical Care Symposium in Tokyo(Japan)』(日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野教授・横堀將司先生、Robert Wood Johnson Medical School 神経学/脳神経外科学教授・Kiwon Lee先生 共同世話人)が、国内外の神経集中治療のエキスパートの先生方を講師に迎えて開催されました。現地/オンラインを含め、約300名の参加があったとのことです。
このシンポジウムで弊社は、米国NeurOptics社と「Application of quantitative pupillometry to the Neurocritical care(神経集中治療における定量的瞳孔記録計の活用)」と題したLecture4を共催いたしましたので、この場をお借りして御報告させていただきます。
Critical Care Symposium in Japan
日時 : | 2023年10月9日(月)12:00 ~ 18:00 |
---|---|
会場 : |
ステーションコンファレンス東京 5階 |
Lecture 4 : |
「Application of quantitative pupillometry to the Neurocritical care |
座⻑ : | 永山 正雄 先生 |
演者 : | DaiWai Olson 先生 |
共催 : |
アイ・エム・アイ株式会社/Neuroptics,Inc/旭化成ゾールメディカル株式会社/アストラゼネカ株式会社/Integra Japan株式会社/日本ストライカー株式会社 |
抄録 : |


講演者のDaiWai Olson先生は米国神経集中治療医学会(Neurocritical Care Society)の理事であり、これまで弊社が取り扱っている米国NeurOptics社の定量的瞳孔記録計であります、瞳孔記録計NPiシリーズ(NPi-100,NPi-200,NPi-300)を使って精力的な研究を行い、数多くの論文を執筆しておられます。
講演内容に関しましては、対光反射の解剖学的機序を説明された後、ペンライトによる対光反射の診断は無意味だと話されました。現代医療において血圧、体温、脈拍、血中酸素飽和度など皆数値で診断しているのに、何故、神経学的ダメージを診断する対光反射を測定者の主観に委ねるペンライトを使うのか疑問であると強調されていました。
瞳孔の反応が迅速でも異常の場合もあるし、緩徐でも正常なケースもあることや、そもそも迅速や緩徐という概念は誰でもわかっているが、それを数値として示せた例が無いことや、瞳孔径にしても実際のところヒトは何ミリとう長さを目視では測れないことをシンポジウム参加者にも体験していただきながら会場内で示され、数十年後にはペンライトは無くなっているだろうと話されました。
また、例として検査者2名による、300以上のペンライトでの診断について、対光反射ありと無しのそれぞれの一致率から0.96と示された文献をもとに、再度全数分析を行い、偶然一致と真の一致で分けるカッパ係数を用いた場合、瞳孔径で0.5、対光反射のある無しに関しては0.4と真の一致は低いことが分かったということをデータから示され、実際にはペンライトでの主観的検査は意味がないことがわかったことについて説明されました。
DaiWai Olson先生は、このような主観的検査であるペンライトに疑問があったところにNPi-100 Pupillometerという電子的測定が可能な瞳孔記録計であるNPiシリーズが発売されたことで、定量的な瞳孔測定のテクノロジーの恩恵を受けることができたこと、その後のシリーズであるNPi-200、NPi-300を使用した瞳孔測定でもカッパ係数を用いた場合、NPiで0.94、瞳孔径で0.91という高い一致をみることができていることをお話になられました。
また、瞳孔を定量的に測定する意義として、Neurological Pupil Index(NPi, 神経学的瞳孔指数 0以上5.0未満の値)について、3以上が正常、3未満が異常であるということだけでなく、今回瞳孔の大きさや対光反射に関する新しい話題として、次のような説明をされました。
- NPiの左右差が0.7より大きくなった場合、modified Rankin Scaleの悪化を示している。※1
- 頭部外傷患者でGCS14,15の患者であっても、瞳孔異常所見が見られる場合、脳震盪の可能性がある。
- 瞳孔不同については、環境光で確認される刺激前の左右差は意味をなさず、あくまで光刺激後の左右差を見る必要があること、瞳孔不同の定義として左右差何ミリであるかについて記載されているものはなく、現在Olson先生の施設でデータを蓄積している。


今回の講演はオンデマンド配信やDVD化は予定されていませんが、NPiに関する情報は以下の資料をご参照ください。
DVD・資料請求
DVD・資料請求ユーザーレポート
日本医科大学付属病院 高度救命救急センター名古屋市立大学病院 集中治療部
メーカーホームページの文献リスト
Clinical PublicationsScientific Abstracts
なお、弊社では最新モデルである「瞳孔記録計NPi-300」をリリースいたしました。新機能として、「NPiサマリテーブル」が加わり、今回紹介したNPiの左右差0.7以上だった回数や、NPi3未満やNPi=0だった回数が表示されるようになり、これまで以上にNPiによる評価としての意義が高まりました。この機会に是非、瞳孔記録計NPi-300をご試用ください。

※1Claudio M Privitera, Sanjay V Neerukonda, Venkatesh Aiyagari, Shoji Yokobori, Ava M Puccio, Nathan J Schneider, Sonja E Stutzman, DaiWai M Olson; END PANIC Investigators“A differential of the left eye and right eye neurological pupil index is associated with discharge modified Rankin scores in neurologically injured patients” BMC Neurol. 2022 Jul 22;22(1):273.doi: 10.1186/s12883-022-02801-3.
弊社では、【神経モニタリング】をはじめ、【脳神経蘇生】【神経集中治療】に関する学術情報のご提供を目的とした会員制サイトを設けております。脳波計(Arc Essentia、NicoletOne)、瞳孔記録計(NPi-200)の要約付き文献リストのご提供や、これまでの学術集会での共催講演の動画配信も行っています。
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