セミナー情報

第52回日本集中治療医学会学術集会 教育セミナー(ランチョン)16
「蘇生後の転帰改善を目指して」ご報告

  • 掲載:2025年05月
  • 文責:急性期ケアエリアチーム
第52回日本集中治療医学会学術集会 教育セミナー(ランチョン)16<br>「蘇生後の転帰改善を目指して」ご報告

第52回 日本集中治療医学会学術集会(2025年3月14~16日、会長:鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 生体機能制御学講座 救急・集中治療医学分野 教授 垣花 泰之 先生)にてランチョンセミナーを日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、アイ・エム・アイ株式会社で共催いたしましたので、ご報告申し上げます。

教育セミナー(ランチョン)16
開催日時 : 2025年 3月14日 (金) 12:50~13:50
会場 : 第19会場 会議室2-1 マリンメッセ福岡B館
テーマ :

蘇生後の転帰改善を目指して

講演① :

「High Quality TTM を超えて:TTMの最適化と新たな展望」
錦見 満暁 先生
広島大学大学院 医系科学研究科 救急集中治療医学 診療講師

講演② :

「CPRおよびPCAS患者における神経モニタリング」
中江 竜太 先生
日本医科大学大学院 医学研究科 救急医学分野 准教授

座長 :

藤谷 茂樹 先生
聖マリアンナ医科大学 救急医学 主任教授

共催 :

第52回日本集中治療医学会学術集会

日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

アイ・エム・アイ株式会社

学会公式
サイト :

https://www.jsicm.org/meeting/jsicm52/index.html

抄録 :

※pdfが開きます(96KB)

座長:藤谷 茂樹 先生
座長:藤谷 茂樹先生
演者:錦見 満暁 先生
演者:錦見 満暁先生
演者:中江 竜太先生
演者:中江 竜太先生

今回、弊社は2020年から心原性心肺機能停止傷病者の1ヵ月後の社会復帰率が低下していることを懸念し「蘇生後の転帰改善を目指して」をテーマにランチョンセミナーを企画し、TTMと神経モニタリングの観点からお二人の先生にご講演をしていただきました。各講演についての要点を以下に纏めます。

講演1「High Quality TTMを超えて:TTMの最適化と新たな展望」(錦見 満暁先生)

  • ROSC後、体温管理療法の必要性の説明(JRCガイドライン2020では32~36℃の体温管理療法を推奨)。
  • 2012年のTTM 1トライアルの発表後、院外心停止患者の予後が悪化した。これは曖昧な平温療法を実施し、意図しない発熱を起こしたことによるものである。
  • 2021年に発表されたTTM 2トライアルでもTTM 1同様、低体温療法と平温療法で予後に差がないことが確認された。
  • 体温管理療法を実施する際は、「低体温」「平温」いずれの場合も、患者体温フィードバック機能を搭載した装置を使ったHigh Quality TTMが推奨されている。
  • 患者体温フィードバック機能付き体表冷却体温管理機器アークティックサンの新モデルSTATの新機能紹介。
  • ILCORから32~34℃の低体温療法が効果のある部分集団がある可能性があるという提言が出されている。
  • 低体温療法は重症度(中等度)の患者に効果があるという研究結果の報告が見られ、中等度群を抽出する最適な方法が検討されている。
  • 本邦で行われているrCAST OHCA Studyなど現在進行中のTTMに関するトライアルの紹介。

講演2:CPRおよびPCAS患者における神経モニタリング(中江 竜太先生)

NIRS

  • 酸化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビンの拍動成分を可視化できる脳組織酸素飽和度モニターNIRO 200NX Pulseの紹介。
  • 胸骨圧迫を行う患者の27%で静脈圧が動脈圧より高い患者がいて、胸骨圧迫により静脈の逆流を起こしている患者はROSCできない。
  • 患者により心臓の解剖学的な位置の違いで効果的な胸骨圧迫ができていない場合がある。
  • NIROは脳組織酸素飽和度(SctO2)に注目することにより、CPR中の胸骨圧迫や気道管理の質をリアルタイムで可視化することができる。
  • SctO2高値(≧45%)である患者は良好な神経予後が期待でき、除細動やアドレナリンが効く可能性が高い。
  • SctO2低値(<45%)である場合、胸骨圧迫の質が低い可能性や酸素供給が不足している可能性があり、胸骨圧迫の部位や方法、実施者の変更、気道デバイスの変更が必要である。

自動瞳孔記録計

  • 自動瞳孔記録計は、瞳孔径、瞳孔反応を検者による差異がなく、客観的かつ信頼できる正確な数値で記録でき、評価を標準化する。
  • AHAガイドライン2020、ERCガイドライン2021、JRCガイドライン2020でROSC後に昏睡状態にある成人の神経学転帰を予測するために、ROSC後72時間以降に対光反射、定量的瞳孔径の測定が推奨されている。JRCでの瞳孔径測定では瞳孔径の収縮割合(qPLR、CH%)、神経学的瞳孔指数NPiのいずれかの測定が推奨されている。
  • 欧州の研究では、ROSC後[1日~3日にNPi≦2であった症例]は全例転帰不良、[6時間後CH3%未満だった症例]は3ヵ月後の生存率が0%で、「自動瞳孔記録計はROSC後1日目から3ヵ月後の転帰予測ができる」という結果が出ている。
  • 自動瞳孔記録計はROSCの予測もでき、ROSCした患者はROSCしなかった患者よりも瞳孔径中央値が小さく(3.9 vs 5.0)、CH%中央値が大きかった(1.3 vs. 0.0)。
  • 自動瞳孔記録計はROSCの予測、ROSC後の神経予後の予測・判定、薬剤使用中やTTM中の患者の瞳孔評価に有用である。
  • 自動瞳孔記録計で測定した瞳孔所見と神経バイオマーカーNSEはともに神経Viabilityを反映している可能性がある。
セミナーの様子

↓本セミナーのDVDは、下記より[DVD【C58】第52回 集中治療]を選択してお申込みください。↓


アイ・エム・アイ株式会社 IMI.Co.,Ltd

このページは、医療関係者の方へ弊社の販売する商品・サービスに関連する情報をご提供することを目的として作成されております。一般の方への情報提供を目的としたものではありませんので、あらかじめご了承ください。

あなたは医療関係者ですか?
TOPへ